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2. 情報検索システムの注意点


◆コンピュータを利用した情報検索システムの注意点

コンピュータを利用した情報検索システムの最初の目的は、大量の情報を効率的に処理することであった。
その実現のために、「大量の情報から、より重要性の低い情報を削っていく」機能が重視されている。
たとえば、情報検索システムの論理演算は、複数のキーワードを適切に組み合わせることによって、重要性の低い情報をふるい落とし、絞り込んでいくところに特徴がある。

(例)

タイトルで検索し、1000件ヒット。
 ↓
年代で絞り込んで、100件に。
 ↓
著者で絞り込んで、10件に。

逆に、キーワードを思いつかないような「新たな情報を見つけ出す」ことには向いていない。

また、もしキーワードを思いついたとしても、そのキーワードが、検索しようとしているシステムの内部では、自分が想定しているものとは異なった意味で付与されているかもしれない。
このようなケースでは、あるキーワードで何かがヒットしたとしても、それは偶然の結果にすぎないかもしれない。
したがって、必要とする文献を適切に入手できるとは限らない。
逆に、ヒットしなかった文献の中にも必要な文献が隠れている可能性がある。


◆検索システムの特徴をチェックする際のポイント

検索システムを使いこなすためには、そのシステムの特徴をチェックしておく必要がある。
一般に、チェックする際のポイントには、次のようなものがある。

  1. 収録対象は何か?
    • 何を検索することができるのか?
  2. 論理演算は可能か?
    • 「AND」、「OR」、「NOT (AND NOT)」
  3. 部分一致(トランケーション)は可能か?
    • 「前方一致」、「後方一致」、「中間一致」、「両端一致」
  4. 完全一致は可能か?
    • 可能であればどのように指定するか?
  5. キーワードの正規化は?
    • 半角と全角は?、大文字と小文字は?、漢字の異体字は?、ひらがなとカタカナは?

◆何もヒットしなかった場合、本当に「存在しないこと」を確認するためには?

本当に「存在しない」のか?、それとも、検索方法に問題があったために「ヒットしない」のか?、を確認することは難しい。
次のような点を考慮してみることによって、ヒット件数が増える可能性がある。

  1. キーワードを短くしてみる。
  2. 複数のキーワードをAND検索している場合は、キーワードを減らしてみる。
  3. キーワードに問題がないか、チェックしてみる。
    • (例)単純な入力ミス、漢字の変換ミス、漢字の異体字、など
  4. キーワードの別の表現があれば試してみる。
    • (例)本名、ペンネーム、類義語、外来語の原語、など
  5. 収録データ自体にミスがあるかもしれないので、ミスを予想して、キーワードを工夫してみる。
    • (例)漢字の変換ミスがあったと想定して、わざと誤った語句で検索してみる。