3. AND, OR, NOT

◆論理演算子の種類

検索システムで提供される論理演算子には、大きく分けて以下の3種類がある。

• AND (論理積)
• OR (論理和)
• NOT (論理差)

論理演算子の使用方法はシステムによって異なるので、注意が必要。
上記の3種類のすべての機能を使用することができるシステムもあるし、いくつかの機能は持たないシステムもある。

(1) AND

• 複数のキーワードのすべてを含む情報がヒットする。

A AND B

• この例では、「A」と「B」の両方を含む情報がヒットする。
• 探す範囲を絞り込みたいときに便利。

(2) OR

• 複数のキーワードのうち、1つ以上を含む情報がヒットする。

A OR B

• この例では、「A」と「B」の両方を含む情報もヒットするし、片方だけを含む情報もヒットする。
• 探す範囲を広げたいときに便利。

(3) NOT

• 複数のキーワードのうち、「NOT」のキーワードは含まない情報がヒットする。

A NOT B

• この例では、「A」を含むが「B」は含まない情報だけがヒットする。
• 探す範囲を絞り込みたいときに便利。

なお、検索システムによっては、「NOT」を単に「否定」を意味する記号として扱う場合がある。
(例：「NOT B」は「B を含まない情報」を意味する。)
そのような検索システムでは、「NOT」ではなく「AND NOT」を用いて、以下のように表現する。

• A AND NOT B

◆AND と OR の組み合わせについて

AND と OR を組み合わせた場合には、原則として AND が優先される。
たとえば、「A OR B AND C」は、AND が優先され、以下の順序で処理される。

1. 「B AND C」
2. 「A」と「「B AND C」の結果」との「OR」

ここで、記号「 ( ) 」を用いて、優先して処理される部分を明示するとすれば、以下のようになる。

• A OR (B AND C)

なお、検索システムによっては、以下のように、単純に左から実行される場合もある。

• (A OR B) AND C

このように、検索システムによって処理の優先順位が異なる場合があるので、確認しておく必要がある

◆論理演算子の適用例

• 以下は、3つのキーワード (A, B, C) に対して AND と OR を組み合わせて適用した場合の例である。
• 組み合わせ方の違いによって結果が異なることに注意。

(1) (A OR B) AND C

この場合は、まず「A OR B」を求める。
次に、上記の結果と「C」との「AND」を求める。

• 下図の左側が「A OR B」、右側が「C」

A OR B	C

• 上図の左側と右側の「AND」を求めると、以下のようになる。

(A OR B) AND C

(2) A OR (B AND C)

この場合は、まず「B AND C」を求める。
次に、その結果と「A」との「OR」を求める。

• 下図の左側が「B AND C」、右側が「A」

B AND C	A

• 上図の左側と右側の「OR」を求めると、以下のようになる。

A OR (B AND C)

◆「国立国会図書館サーチ」の「検索演算子（AND/OR/NOT)」について

「国立国会図書館サーチ」のヘルプ「2-5 検索仕様の詳細」から抜粋。

• 「国立国会図書館サーチ」では、「AND, OR, NOT」は「検索演算子」と呼ばれている。
• キーワードの前に「指定された記号」を入力することで、記号に対応する検索が実行される。
• 「併用」する場合、検索演算子の種類には関係なく、「左から順に処理」される点に注意。

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  指定された記号（「全角・半角スペース」と「"+"や"-"の頭文字」）を検索キーワードの前に入力することで、AND/OR/NOT検索を行うことができます。

  表7 検索演算子の一覧

  頭文字	演算子
  なし	AND
  +	OR
  -	NOT

  例えば「夏目 +漱石 -こころ」と入力すると、「夏目OR漱石NOTこころ」を指定します。
  ※各頭文字の記号の前に、スペースが必要です。
  　入力例「夏目 +漱石 -こころ」の場合、「+」 「-」の前に区切り文字として半角スペースを入力しています。
  ※「+」「-」は、半角文字で入力してください。
  ※「AND」「OR」「NOT」を併用する場合は、左から順に処理されます。
  ※すべての単語をOR指定した場合でも、一番最初の単語はANDとして処理されます。

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  • 出典：https://ndlsearch.ndl.go.jp/help/bibsearch#search-detail

◆検索の実例 - CiNii Books

CiNii Books の AND, OR, NOT 検索を試してみる。
CiNii Books のリンクは下記から。

• https://ci.nii.ac.jp/books/

練習用のキーワードのペアは、下記のとおり。
それぞれについて、AND, OR, NOT で検索してみる。
「AND」は、「CiNii Books」では空白で代用できるので、今回はその方法を使い、単に空白で区切って検索してみる。
「OR」や「NOT」の文字を入力する際に、「CiNii Books」では前後に空白が必要なので注意すること。
「NOT」は、左右のキーワードを入れ替えると意味が異なってしまうため、それぞれ試してみる。
なお、下記の右側の数字は過去の検索結果を示しているので、参考にすること。

(1) 「ヴァイオリン」と「バイオリン」

(2) 「銀河」と「宮沢賢治」

◆検索対象のキーワードが特殊な関係にある場合

検索対象のキーワードは、常に部分的に重なり合っているとは限らない。
ここでは、特殊な関係にある3種類の場合の例を示す。

(1) キーワードが重ならない場合の例

• この例では、「A」と「B」が完全に分離している。
• 「A AND B」はゼロ。
• 「A OR B」は「A」と「B」の合計に一致。
• 「A NOT B」はAに等しい。
• 「B NOT A」はBに等しい。

CiNii Books 検索事例
「A」を「スマホ」、「B」を「石川啄木」とした場合

(2) 片方のキーワードのすべてがもう片方に含まれる場合の例

• この例では、「B」のすべてが「A」に含まれている。
• 「A AND B」は「B」に等しい。
• 「A OR B」は「A」に等しい。
• 「A NOT B」は「A」から「B」を引いた数に等しい。
• 「B NOT A」はゼロ。

CiNii Books 検索事例
「A」を「銀河」、「B」を「銀河鉄道」とした場合

(3) キーワードが完全に重なる場合の例

• この例では、「A」と「B」が完全に一致している。
• 「A AND B」は「A」に等しく、かつ、「B」にも等しい。
• 「A OR B」も「A」に等しく、かつ、「B」にも等しい。
• 「A NOT B」はゼロ。
• 「B NOT A」もゼロ。

CiNii Books 検索事例
「A」を「宮澤賢治」、「B」を「宮沢賢治」とした場合