目録規則 (cataloging rules, cataloging code)
図書館における目録作成(目録作業)の統一をはかるため、個々の図書の目録記入の形式をととのえ、一貫した目録編成ができるように、目録記入の記載事項やその排列の指標を定めた規則のこと。図書館における目録作成の原則・方法を目録法 (cataloging code) といい、その統一をはかるために細部にわたって成文化した基準のことを目録規則 (cataloging rules) といって区別することもある。
(1) 記述目録法 (descriptive cataloging) |
情報資源の「書誌記述」に関する情報を表現するための方法。
具体的なルールとしては、日本図書館協会の「日本目録規則」や、国立情報学研究所の「コーディングマニュアル」などがある。 |
(2) 主題目録法 (subject cataloging) |
情報資源の「主題」に関する情報を表現するための方法。
具体的なルールとしては、日本図書館協会の「日本十進分類法」や、国立国会図書館の「国立国会図書館件名標目表」などがある。 |
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▼「書誌記述」に関するデータ | |
タイトル | 自然を楽しんで稼ぐ小さな農業 : 畑はミミズと豚が耕す / |
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責任表示 | マルクス・ボクナー 著 ; シドラ房子 訳. |
出版事項 | 東京 : 築地書館, 2018.3. |
形態/付属資料 | 188p ; 21cm. |
注記 | 原タイトル: Selbst denken,selbst machen,selbst versorgen. |
ISBN | 978-4-8067-1550-4 : |
価格等 | 1800 円 |
▼「主題」に関するデータ | |
普通件名 | 農業経営 -- ドイツ |
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NDLC | DM251 |
NDC(10) | 611.7 |
▼件名「農業経営 -- ドイツ」 |
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▼分類記号「DM251」 |
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▼分類記号「611.7」 |
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観点 | 特徴 | 目録の種類 |
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検索方法別 | 書誌情報から検索 | タイトル目録 |
著者目録 | ||
主題から検索 | 件名目録 | |
分類目録 | ||
混合型 | 辞書体目録 | |
用途別 | 利用者用 | 閲覧用目録 |
事務用 | 書架目録 | |
典拠目録 | ||
対象別 | 個別の図書館 | 所蔵目録 |
複数の図書館 | 総合目録 |
▼大阪府立中央図書館国際児童文学館 |
▼国立国会図書館サーチ |
(1) ある特定の資料の所蔵の有無を示す機能 |
利用者が特定の資料を「タイトル」や「著者」などで探す場合に対応できるようにする。 |
(2) ある主題やテーマに関して、どのような資料を所蔵しているかを示す機能 |
利用者が未知の資料を主題やテーマを手がかりにして探す場合に対応できるようにする。 |
(3) 所蔵資料の所在場所を示す機能 |
書誌データと、それに対応する資料そのものとを結びつける。 |
(1) 目録記入 (entry) |
目録の本体にあたる要素。
下記の3項目で構成される。 ・書誌記述 (bibliographic description) ・標目 (heading) ・所在記号 (location mark) |
(2) 参照 (reference) |
ある標目から他の標目へ導き、案内する役割を持つ要素。
役割の違いで、下記の2種類がある。 ・を見よ参照 (see reference) ・をも見よ参照 (see also reference) |
(1) カード目録の場合 |
「参照」用のカードを作成し、通常の目録カード(目録記入のカード)に混ぜて、繰り込んでいた。
(カードの例1) 「鳳, 晶子」は、「与謝野, 晶子, 1878-1942」を見よ (カードの例2) 「中島, 梓, 1953-2009」は、「栗本, 薫, 1953-2009」をも見よ 利用者は、検索中にこのような「参照」用のカードを見つけた場合、「参照」が指し示す標目を新たに探していた。 「参照」が存在することにより、検索の際に関連する資料を効率的に探すことが可能となる。 |
(2) コンピュータ目録の場合 |
「参照」をシステムに組み込み、参照先の標目も自動的に検索されるように設計している場合が多い。
この場合、利用者は標目の「参照」をあまり意識しないで検索することができるというメリットがある。 システムに組み込んだ例としては、国立国会図書館オンラインや CiNii Books などがある。 |
▼「与謝野, 晶子, 1878-1942」 |
▼「与謝野, 晶子, 1878-1942」でNDL-Bib を検索した例 |
▼「鳳, 晶子」でNDL-Bib を検索した例 |
▼「中島, 梓, 1953-2009」 |
▼「中島, 梓, 1953-2009」でNDL-Bib を検索した例 |
▼「栗本, 薫, 1953-2009」でNDL-Bib を検索した例 |
従来の枠組み | 新しい枠組み | |
目録原則 | パリ原則 (Paris Principles) (パリ「目録原則国際会議」で承認) | 国際目録原則 (ICP) (International Cataloguing Principles) |
目録規則 (英米の場合) | 英米目録規則 (AACR) (Anglo-American Cataloguing Rules) | 情報資源の記述とアクセス (RDA) (Resource Description and Access) |
書誌記述の基準 | 国際標準書誌記述 (ISBD) (International Standard Bibliographic Description) | 書誌レコードの機能要件 (FRBR) (Functional Requirements for Bibliographic Records) |
典拠の基準 | (なし) | 典拠データの機能要件 (FRAD) (Functional Requirements for Authority Data) |
主題典拠の基準 | (なし) | 主題典拠データの機能要件 (FRSAD) (Functional Requirements for Subject Authority Data) |
IFLA Library Reference Model(IFLA LRM)
IFLA LRM は、"FRBR family"と呼ばれる三つの概念モデル書誌レコードの機能要件(FRBR)、典拠デ ータの機能要件(FRAD)および主題典拠データの機能要件(FRSAD)を統合した高次の概念参照モデルで す。2017年8月にIFLA の専門委員会によって承認されました。このモデルは、Linked Data としての書 誌データの利用が促進されるように設計されています。
国際目録原則(ICP)
「国際目録原則覚書」(Statement of International Cataloguing Principles)は、2009年にIFLA によ って発表されました。この国際目録原則(ICP)は、1961年に国際目録原則会議で採択された通称「パリ原 則」にとって代わるものです。目録に関する国際標準の基盤として、世界の多くの目録規則がICP に基づき 定められています。2014年からIFLA で改訂作業が進められ、2016年12月に改訂版(2017年に微細な変 更あり)が公開されました。
利便性とは、すべてのデータが利用者にとって分かりやすく適切であり続けるためにあらゆる取組みが行われるべきである、ということを示している。「利用者」という語は、目録を探索し、書誌データおよび/または典拠データを利用する者すべてを意味する。記述の作成およびアクセスのための名称の統制形の構築における決定は、利用者を念頭に置いて行うものとする。
日本図書館協会目録委員会は国立国会図書館(NDL)収集書誌部との連携作業により、現在の国際標準に対応した新しい「日本目録規則(NCR)」の策定作業を進めてまいりました。2018年3月28日に「予備版」をPDF形式で公開した後、2018年12月25日に『日本目録規則2018年版』(本版)の冊子体を刊行、2019年1月7日にPDF版を公開しました。