分類目録 (classified catalog)
主題から図書を検索するためのいわゆる主題目録 (subject catalog) のひとつで、それぞれの分類体系 (分類表) によって与えられた分類記号の順にそれぞれの記入 (分類記号を標目とする各分類記入) を排列・編成した目録。 1つの図書に2つ以上の主題が含まれる場合にはそれぞれの主題に対応する複数の分類記号が付与されるが、これを分類重出という。 求める主題を表すことばから該当する分類記号へ案内・指示するため、音順 (字順) の索引を付けるのが普通である。
件名目録 (subject catalog)
主題から図書を検索するための、いわゆる主題目録の一種。 図書の主題を表す記号 (分類記号) によって検索する分類目録に対して、個々の図書に、その主題を表すあらかじめ選定された一定の名辞 (件名) を与え、この件名を標目として目録記入を作成し、これに件名標目として採用されなかった語から件名標目へみちびくための参照記入を加え、その音順に排列・編成した目録のことをいう。 1冊の図書には1個ないし数個の件名が与えられるのが普通で、アメリカなどでは一般に、辞書体目録の中に組み込まれて編成されている。 コンピュータ目録では、件名目録、書名目録という概念が薄れたが、検索キーとしての件名は、主題検索のための有効な手段として重要である。
(1) 検索画面から直接、分類や件名を指定して検索する方法 |
(2) ある資料の詳細画面に含まれている分類や件名からリンクをたどる方法 |
書架分類 | 書架上での資料の位置を確定することが目的。
1つの資料には原則として1つだけ付与。 |
書誌分類 | 資料の内容を詳細に表現することが目的。
1つの資料に複数付与してもよい。 |
列挙型 | 対象となる概念や事物が列挙されている。
適切な項目を選択して分類記号を決定する。 |
分析合成型 | 概念を複数の視点から分析して得られる要素が用意されている。
対象にふさわしい要素を必要に応じて合成して分類記号を生成する。 |
階層表示型 | 階層として意味をもつ記号を付与する方法。
桁を増やすことにより細分化される。 |
序列表示型 | 単純に順序を示す記号を付与する方法。
複数の記号の間には特に関係性がない。 |
純粋記号法 | 1種類の記号だけを使用する方法。
(例:アルファベットのみ。数字のみ。など) |
混合記号法 | アルファベット、数字、その他の文字、各種の符号等を混合して使用する方法。
(例:アルファベットと数字の混合。コロン記号やプラス記号の追加。など) |
書架分類 | 資料そのものを、書架上に排列するための分類。
同じ主題・テーマをもつ資料が、書架上で1か所に集められる。 主題が複数ある場合でも、記号は1つだけ選択しなければならない。 |
書誌分類 | 資料全体に盛り込まれた主題を広範囲に分析する分類。
目録データや文献リストに掲載することを想定している。 必要であれば1冊の資料に複数の分類を与えることも可能。 |
列挙型 | あらゆる事象・現象・概念をあらかじめ列挙して構成。
長所:直感的に理解しやすい。階層性を反映させることが容易。 短所:新主題や複合主題への対応が困難。 |
分析合成型 | 主題の基本的構成要素を記号化しておき、記号の合成で主題を表現。
長所:新主題や複合主題への対応が比較的容易。 短所:分類の結果、記号が非常に複雑となる場合がある。 |
十進分類法 | 「階層表示型」の分類法の一つ。
全体を9区分とし、それらの総和に「0」を与えていく。 長所:単純で理解しやすい。数字の桁の違いで階層関係を表現。 短所:区分単位が9つに限られ、場合によっては不足。 |
序列表示型分類法 | 対象を列挙した体系に、任意の記号を割り振って構成。
記号は単に順序のみを表す序数として扱うことに注意。 長所:短い桁数の記号で大量の事物や現象を扱うことができる。 短所:記号だけでは階層関係が不明。 |
件名標目 (subject heading)
著作の主題を表し、件名目録の見出し語 (標目) となることばで、ことにコンピュータ目録では重要な検索キーとしての役割をもつ。 件名目録は図書の主題を日常的な用語で表現し、これを標目 (排列語、検索キー) とするので、標目として採用すべきことばをあらかじめ統一的に選定して、目録の体系を混乱させないようにしておく必要がある。 この時、たとえば多くの同義語の中から、その目録体系に採用すると定められたことばが件名標目であり、採用されなかった同義語は、参照によって件名標目にみちびかれる。 主題を表す主題標目のほか、図書の形式を表す形式標目 (form heading) をも含む。 単に件名ということもある。 主標目のもとに細目を伴う場合があり、また2単語以上から成り、時には句読点などを含む場合があり、これらを複合件名標目または複合標目 (compound heading) という。
件名標目表 (list of subject headings)
件名標目として選定された用語と、選定されなかった同義語などのことば (直接参照、を見よ参照の形で表示されている)、および標目相互の関連を示す連結参照 (をも見よ参照) を、一定の順序 (通常は五十音順またはアルファベット順) に排列したリストのこと。 それぞれの参照の逆参照、標目の範囲や使用法を示す注記、さらには標目に対する分類番号が付加されることもある。 件名目録を作成する場合の典拠として使われる。 件名標目表には3つの種類がある。 第1は、館種の別なく多数の図書館で共通に採用することのできる標準件名標目表 (日本図書館協会『基本件名標目表』(BSH) など)、第2は、特定の分野・館種で採用される分野別件名標目表 (全国学校図書館協議会『中学・高校件名標目表』など)、第3は、特定の図書館用に作成された一館件名標目表 (『国立国会図書館件名標目表』など。ただし、『国立国会図書館件名標目表』は、Web (ウェブ) 版が公開され、国内で広く利用されている) である。 『基本件名標目表第4版』や『国立国会図書館件名標目表』の最近の改訂では、シソーラスの階層構造の考え方が取り入れられている。
シソーラス (thesaurus)
情報検索システムにおいて用いられている統制用語、すなわち、多くの主題を表す自然語 (文献語) の中から、そのシステムにおいて採用すると決められた用語 (ディスクリプタ、または記述子という) の一覧表のことをいう。 一般的には機械検索を行う際の一種の件名標目表で、科学技術分野を中心に、一定範囲内の学術用語については、それぞれの分野で開発・整備されつつある。 ディスクリプタ相互の意味的な関係、および上位・下位概念を明示しているのが特徴で、ディスクリプタとして採用されなかった語については、 〈see〉 〈use〉 などの、いわゆる〈を見よ参照〉によって該当するディスクリプタへの指示がなされ、ディスクリプタ相互については、〈をも見よ参照〉に相当する 〈RT (related term)〉 または 〈see also〉 の指示のほか、そのディスクリプタを意味的に包括する上位概念が、 〈BT (broader term)〉 または 〈see under〉 などのもとに、またそのディスクリプタを意味的に細分したものである下位概念が、 〈NT (narrower term)〉または 〈see specific〉 などのもとに、それぞれ指示されている。 厳密には、以上の全ディスクリプタを意味的に分類し、体系化した一覧表のことをシソーラスという。
件名標目とは、目録を検索する際の手がかりとして、資料の主題を言葉で表現したものです。国立国会図書館件名標目表(National Diet Library Subject Headings, 略称NDLSH)は、国立国会図書館の目録に適用している件名標目のうち、普通件名、細目、一部の固有名件名(言語名、動植物名など)を収録しています。NDLSHは、国立国会図書館検索・申込オンラインサービス(国立国会図書館オンライン)で特定の主題の資料をまとめて検索したいときに便利です。
国立国会図書館はNDLSHを1964年から1991年まで、冊子体(印刷物)として刊行し、件名標目表全体を見直す改訂作業(インターネット資料収集保存事業(WARP)へリンク)を経て、2005年からホームページでPDF形式で提供してきました。(注1)
さらに2010年からは「Web版国立国会図書館件名標目表」(Web NDLSH)の提供を開始し、2011年からはWeb NDLSHに個人名、団体名などの典拠データを追加し機能を拡張した国立国会図書館典拠データ・検索サービス(Web NDL Authorities)を提供しています。