情報資源組織論

> 情報資源組織論 > 7 記述目録法の基礎

1. 目録法の基礎知識
2. 代表的な目録規則
3. 書誌階層
4. 書誌記述の情報源

1. 目録法の基礎知識

1-1. 記述の目的

記述の目的は、資料を適切に表現する書誌データを提供することである。
「図書館用語集」では、以下のように説明されている。

記述 [目録記入の] (description)

個々の資料について、他の資料または同一著作の他の版と同定識別するため、タイトルと責任表示に関する事項、版に関する事項など、一連の書誌的事項を組織的に構成して記録すること。またはそのように記録した一連の書誌的事項。【以下略】
- 出典: 図書館用語集 4訂版. 日本図書館協会. 2013. p.55.

1-2. 記述の対象

記述の対象となる資料は、複数の異なった視点から認識することが可能である。
視点が異なれば、同じ資料を対象としていても、異なる書誌データで表現されることに注意する必要がある。

たとえば物理的形態の資料（図書や雑誌などのような）については、次のような3つの視点が考えられる。

構成部分	・内容的に独立しているが、形態的には独立していない著作。・雑誌の中の論文、全集の中の短編小説など。
独立部分	・形態的に独立した存在。・内容的にも独立している場合もあれば、内容的には複数の著作の集合体である場合もある。
包括的部分	・共通のタイトルをもつ複数の独立部分の集合体。・全集ものやシリーズものなど。

また、ある短編小説が雑誌に掲載され、その後に単行本→文庫版→全集、というように刊行された場合、それぞれの記述の対象として考えられるものには次のようなものがある。

雑誌記事	単行本	文庫版	全集
・個別の記事のデータ・収録雑誌のデータ	・個別の内容のデータ・単行本のデータ	・個別の内容のデータ・文庫本のデータ・文庫全体のデータ	・個別の内容のデータ・各巻のデータ・全集全体のデータ

1-3. 記述の構成要素

記述の構成要素は、目録規則によって多少異なるが、ISBD に準拠した規則では、大きな違いはない。
ISBD は、従来は資料タイプ別にそれぞれ規定を設けていたが、最新版では統合された。
現在の最新版は、ISBD International Standard Bibliographic Description - Consolidated edition (2011)
- ifla-isbd-international-standard-bibliographic-description-2011.pdf
(オリジナルへのリンク)
- http://repository.ifla.org/handle/123456789/786

ISBD の構成要素は「Area」と呼ばれ、下記の9種類がある。

Area 0	Content form and media type area	内容形式とメディアタイプ
Area 1	Title and statement of responsibility area	タイトルと責任表示
Area 2	Edition area	版
Area 3	Material or type of resource specific area	資源の特性
Area 4	Publication, production, distribution, etc., area	出版、製作、頒布
Area 5	Physical description area	形態
Area 6	Series area	シリーズ
Area 7	Note area	注記
Area 8	Resource identifier and terms of availability area	資源識別子と入手条件

ISBD に準拠した書誌データは、データの構成要素が共通している。
ISBD が広く使われることにより、国や地域の枠を超えて書誌データを利用することが容易となった。

以下に、6種類の言語による ISBD のサンプルを挙げる。
- 出典: Full ISBD Examples - Supplement to the consolidated edition of the ISBD: International Standard Bibliographic Description.
  isbd-examples_2013.pdf
- (オリジナルへのリンク)
  http://repository.ifla.org/handle/123456789/50
▽ 日本語のサンプル

▽ 中国語のサンプル

▽ 朝鮮語のサンプル

▽ 英語のサンプル

▽ ロシア語のサンプル

▽ アラビア語のサンプル

[参考] ISBD サンプル Japanese 14 - Book の対象資料について

日本語のサンプル Japanese 14 - Book (再掲)

対象資料の情報源画像

▽ 標題紙 ▽ 奥付

▽ 表紙 ▽ ページ付のある最終ページ (p. 282)

国立国会図書館オンラインの詳細表示例
- 出典: https://id.ndl.go.jp/bib/000008588293

CiNii Books の詳細表示例
- 出典: https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA81912849

[参考] ISBD サンプル Japanese に掲載された資料に対応する、オンライン目録データへのリンク

第7回補足: isbdexjp.html

2. 代表的な目録規則

2-1. 英語圏

1961年の「パリ原則」に従って作成された英語圏の目録規則が、「Anglo-American Cataloguing Rules」(AACR)である。
「AACR」は、アメリカ図書館協会、アメリカ議会図書館、イギリス図書館協会、カナダ図書館協会の協力により編集された。
「AACR」には「北米版 (North American text)」と「英国版 (British text)」の2種類の版があり、用語や内容の一部に相違があった。
「AACR」の改訂版が「Anglo-American Cataloguing Rules, 2nd Edition」(AACR2) である。
「AACR2」の特徴としては、記述についての ISBD の採用や、標目に代わる「アクセスポイント」という概念の導入などがある。
「AACR2」は英語圏全体を対象としており、以前の「北米版」と「英国版」の違いは解消された。
「AACR2」を置き換えることを目標として作成されたものが「RDA: Resource Description and Access」である。

「RDA」は、2009年の「国際目録原則」に従って作成された。

英語圏の代表的な目録規則
1967	Anglo-American cataloging rules. North American text.
1967	Anglo-American cataloguing rules. British text.
1978	Anglo-American cataloguing rules. 2nd ed.
1988	Anglo-American cataloguing rules. 2nd ed. 1988 revision.
1998	Anglo-American cataloguing rules. 2nd ed. 1998 revision.
2002	Anglo-American cataloguing rules. 2nd ed. 2002 revision.
2010	Resource Description and Access.
2015	Resource Description and Access. 2015 revision.

「RDA」をオンラインで利用できるようにしたものが「RDA Toolkit」であり、最新情報もここに掲載される。
- https://www.rdatoolkit.org/
[参考] 「RDA」とは?

RDA: Resource Description and Access is a package of data elements, guidelines, and instructions for creating library and cultural heritage resource metadata that are well-formed according to international models for user-focused linked data applications.

RDA was created by the RDA Steering Committee (formerly the Joint Steering Committee for the Development of RDA) as part of its strategic plan (2005-2009) to replace the Anglo-American Cataloguing Rules, 2nd Edition Revised, which were first published in 1978.

RDA continues to be developed and improved in a collaborative process led by the RDA Steering Committee. RSC gratefully acknowledges the contributions of the many institutions and individuals who have generously given their time and energies to the creation of RDA.

RDA was developed in line with a set of objectives and principles which are informed by the Statement of International Cataloguing Principles.
- 出典: https://www.rdatoolkit.org/about

2-2. 日本

1961年の「パリ原則」に従って作成された日本の目録規則が、「日本目録規則 1965年版」(NCR1965) である。
「日本目録規則 1965年版」の特徴としては、基本記入方式の採用や、パリ原則に準拠した標目の選定などがある。
「日本目録規則 1965年版」の改訂版が、1977年の「日本目録規則新版予備版」(NCR1977) である。
「日本目録規則新版予備版」の特徴としては、基本記入方式に代わる「記述ユニット・カード方式」の採用や、ISBD に準拠した記述などがある。
ただし、「日本目録規則新版予備版」では日本語の表記の特殊性を考慮し、ISBD の区切り記号は用いないこととされていた。
「日本目録規則新版予備版」の本版にあたるものが「日本目録規則 1987年版」(NCR1987) である。
「日本目録規則 1987年版」の特徴としては、書誌階層という概念の導入や、ISBD 区切り記号の採用などがある。
「日本目録規則 1987年版」を置き換えることを目標として作成されたものが「日本目録規則 2018年版」(NCR2018) である。

「日本目録規則 2018年版」は、2009年の「国際目録原則」に従って作成された。

日本の代表的な目録規則
1965	日本目録規則 1965年版.
1977	日本目録規則新版予備版.
1987	日本目録規則 1987年版.
1994	日本目録規則 1987年版改訂版.
2001	日本目録規則 1987年版改訂2版.
2006	日本目録規則 1987年版改訂3版.
2018	日本目録規則 2018年版.

「日本目録規則 2018 年版」は「RDA」との互換性に配慮しており、全体の構成も「RDA」に準拠したものとなっている。
「日本目録規則 2018 年版」のPDF版は、Web で公開されている。
- https://www.jla.or.jp/mokuroku/ncr2018

3. 書誌階層

3-1. 書誌階層に関する規定の目的

書誌階層に関する規定の目的は、書誌データを作成する際に、どのような視点から作成するのか、という点を明確にすることである。
たとえば、全集もので各巻に個別のタイトルがある場合、全体と各巻ごとでは視点が異なり、そのことが書誌データの表現にも影響を与える。
書誌階層の考え方は以前からあったが明確な規定はなかった。そのため、「視点とする階層」をどこに設定するかについて、判断が揺れる可能性があった。
もし「視点とする階層」が異なると、同じ資料を対象としていても、作成された書誌データがまったく別の資料のように見える場合もある。この点は、複数図書館の総合目録を構築する際に、特に問題となる。
オンラインの総合目録が一般的となった現在では、書誌データを作成する際には、書誌階層を考慮し、バランスのとれたデータとすることが求められている。

[参考例] 「中井英夫全集」全12巻

この全集は、過去に単行書として刊行された著作をまとめて、12巻に収めたものである。
以下は、全巻の背の画像である。
以下は、ISBD に準拠した書誌データ例である。

書誌階層を考慮して、以下の2種類の視点からデータを作成した場合を想定している。

「全集」を基準とした視点 (「中井英夫全集」をメインタイトルとした場合)
「各巻」を基準とした視点 (各巻の個別タイトルをメインタイトルとした場合)

▽ 「中井英夫全集」をメインタイトルとした場合

中井英夫全集 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1996-2006. -- 12 冊 ; 15cm. -- (創元ライブラリ). -- 各巻タイトル: 1. 虚無への供物. -- 2. 黒鳥譚. -- 3. とらんぷ譚. -- 4. 蒼白者の行進. -- 5. 夕映少年. -- 6. ケンタウロスの嘆き. -- 7. 香りの時間. -- 8. 彼方より. -- 9. 月蝕領崩壊. -- 10. 黒衣の短歌史. -- 11. 薔薇幻視. -- 12. 月蝕領映画館.

▽ 各巻の個別タイトルをメインタイトルとした場合

虚無への供物 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1996. -- 760, 4p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 1).

黒鳥譚 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1998. -- 814, 7p, 図版 [1] p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 2). -- 内容: 黒鳥譚. 見知らぬ旗. 黒鳥の囁き. 人形たちの夜.

とらんぷ譚 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1996. -- 713, 5p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 3). -- 内容: 幻想博物館. 悪夢の骨牌. 人外境通信. 真珠母の匣. 影の狩人. 幻戯.

蒼白者の行進 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1997.2. -- 565, 5p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 4). -- 内容: 蒼白者の行進. デウォランは飛翔したか. 光のアダム. 重い薔薇. 薔薇への遺言.

夕映少年 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 2002.12. -- 846, 8p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 5). -- 内容: 夜翔ぶ女. 金と泥の日々. 名なしの森. 夕映少年. 他人 (よそびと) の夢.

ケンタウロスの嘆き / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1996.7. -- 746, 4p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 6). -- 内容: 黒鳥の旅もしくは幻想庭園. ケンタウロスの嘆き. 地下を旅して.

香りの時間 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1998.8. -- 723, 5p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 7). -- 内容: 香りの時間. 墓地. 地下鉄の与太者たち. 溶ける母.

彼方より / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1998.4. -- 855, 7p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 8). -- 内容: 彼方より. 黒鳥館戦後日記. 続・黒鳥館戦後日記.

月蝕領崩壊 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 2003.10. -- 850, 8p, 図版 [2] p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 9). -- 内容: 月蝕領宣言. LA BATTEE. 流薔園変幻. 月蝕領崩壊.

黒衣の短歌史 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 2002.2. -- 831, 8p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 10). -- 内容: 詩篇. 黒衣の短歌史. 現代短歌論. 暗い海辺のイカルスたち. 中井英夫・中城ふみ子往復書簡.

薔薇幻視 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 2000.4. -- 275, 7p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 11). -- 内容: 薔薇幻視. 香りへの旅.

月蝕領映画館 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 2006.11. -- 232, x, 9p ; 15cm. -- (創元ライブラリ. 中井英夫全集 ; 12).

[参考例] 「中井英夫全集」第2巻から

この巻には、以下の4冊の単行書をもとにした著作が収録されている。
- 中井英夫作品集. -- 東京 : 三一書房, 1969.
- 見知らぬ旗 / 中井英夫著. -- 東京 : 河出書房新社, 1971.
- 黒鳥の囁き / 中井英夫著. -- 東京 : 大和書房, 1974.
- 人形たちの夜 / 中井英夫著. -- 東京 : 潮出版社, 1976.
▽ カバー ▽ 表紙

▽ 標題紙 ▽ 奥付 ▽ 目次

▽ 「黒鳥譚」の中扉と目次

▽ 「見知らぬ旗」の中扉と目次

▽ 「黒鳥の囁き」の中扉と目次

▽ 「人形たちの夜」の中扉と目次

第2巻の個別のタイトルは「黒鳥譚」である。

このタイトルを「基礎」とした場合、以下のような書誌階層が形成されていると考えることができる。

基礎	この資料は、「黒鳥譚」である。
上位	この資料は、「中井英夫全集」の「2」である。
さらに上位	この資料は、「創元ライブラリ」の中の1冊である。
下位	この資料は、「黒鳥譚」「見知らぬ旗」「黒鳥の囁き」「人形たちの夜」を収録している。

上記のタイトルを、書誌階層の上位から順に並べてみると、以下のようになる。

1 創元ライブラリ
2 中井英夫全集 2
3 黒鳥譚
4 黒鳥譚見知らぬ旗黒鳥の囁き人形たちの夜

上記の階層の違いにより、この資料について、少なくとも4種類の書誌データが考えられる。

書誌階層の上位から順に並べてみると、以下のようになる。

1	`創元ライブラリ. -- 東京 : 東京創元社, 1998.`
2	`中井英夫全集. 2 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1998.`
3	`黒鳥譚 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1998.`
4	`黒鳥譚 ; 見知らぬ旗 ; 黒鳥の囁き ; 人形たちの夜 / 中井英夫著. -- 東京 : 東京創元社, 1998.`

国立国会図書館オンラインの詳細表示例
- 出典: https://id.ndl.go.jp/bib/000002747929

CiNii Books の詳細表示例
- 出典: https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA4073717X

3-2. 日本目録規則の書誌階層の考え方のポイント

「日本目録規則」では、総合目録への対応を目的として、書誌階層の考え方が導入された。
（p.8-9「 7) 書誌階層」、および、p.17-18「0.8 書誌階層構造」）

▽ 日本目録規則1987年版改訂3版から - 書誌階層の解説図 (p. 17)

階層構造には上下関係があり、「書誌レベル」と呼ばれる。

「書誌レベル」には、「基礎」「集合」「構成」の3種類がある。

「集合」の例には、全集もの、シリーズもの、○○文庫、○○新書、雑誌などがある。

「構成」の例には、論文集の中の個々の文献や、短編集の中の個々の作品などがある。

「集合」と「構成」のレベルは、そのレベルの中でさらに複数の階層に分かれる場合もある。

「書誌レベル」と関連し、「書誌単位」がある。

「書誌単位」は「一つの書誌レベル」で「固有のタイトルから始まる一連の書誌的事項の集合」。

「書誌単位」には、「基礎」「集合」「構成」の3種類がある。

「基礎書誌単位」は、「単行書誌単位」「継続刊行書誌単位」の2種類がある。

「継続刊行書誌単位」の例には、雑誌や年鑑などがある。

「書誌単位」と関連し、「物理単位」がある。（p.18「0.9 物理単位」）

「物理単位」は「書誌単位」を分割した、形態的に独立した部分の1点ずつを記述する単位。

「物理単位」は、固有のタイトルを持たないものが対象となる。（例：「上巻」「第2巻」など）

「物理単位」の例には、上下2巻ものの各巻や、各巻タイトルのない全集ものの各巻などがある。

3-3. 書誌階層規定化の利点

総合目録のデータ作成作業において、作成者の判断の統一を図ることができる。
その結果、データの品質向上が期待される。

3-4. 書誌階層の考え方を採用した目録の注意点

書誌階層構造というものは、具体的には必ずしも明確なものではなく、目録作成者によって上下関係の判断が揺れることも多い。したがって、書誌データのチェック、見直し、訂正などの作業も重要である。
書誌階層のある資料を主題で分析する際に、階層が異なると主題も異なる場合がある。したがって、主題に関するデータ（分類や件名など）を入力する際には注意が必要である。

4. 書誌記述の情報源

4-1. 書誌記述の原則

書誌記述の原則は、資料を適切に表現するための書誌情報を記録することである。
「日本目録規則」では、次のように説明されている。

書誌的事項は、記述対象資料を他の資料から同定識別できる範囲で、必要かつ十分なだけ記録する。
- （p.22「1.0.0.1 記述の原則」から）

4-2. 書誌記述の情報源

書誌記述の情報源を何にするかは、書誌的事項のデータを記録する際に、非常に重要である。
「日本目録規則」では資料タイプ別（図書、書写資料、地図資料、楽譜、録音資料、映像資料、静止画資料、電子資料、博物資料、点字資料、マイクロ資料、継続資料）に、それぞれの章で規定を設けている。

「図書」については、下記のように書誌的事項の要素ごとに所定の情報源が定められている。

書誌的事項の要素	所定の情報源
タイトルと責任表示	標題紙（標題紙裏を含む）、奥付、背、表紙
版	標題紙（標題紙裏を含む）、奥付、背、表紙
出版・頒布等	標題紙（標題紙裏を含む）、奥付、背、表紙
形態	その図書から
シリーズ	その図書から
注記	どこからでもよい
ISBN、入手条件・定価	どこからでもよい

（p.56「2.0.3.2 各書誌的事項の情報源」から）

「所定の情報源にある情報」と「それ以外から得られた情報」の両方が混在する場合には、その違いが目録の利用者にもすぐ分かるように、明確に区別して記録されていることが望ましい。
「日本目録規則」では、「所定の情報源以外から得た書誌的事項」は、その情報が所定の情報源には存在しないという事実を示すため、「角がっこ」に入れて記録する。このような扱いを「補記」と呼ぶ。（p.57「2.0.3.2C」」）
たとえば下記のように、著作の種類を示す語の「著」が角がっこで囲まれていた場合、この「著」という語は、所定の情報源には存在せず、目録の作成者によって補記されたものである、ということが分かる。

新訳マクベス / シェイクスピア [著] ; 河合祥一郎訳