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配付資料


1. 日本目録規則の基本


1-1. 全体的な基本事項

入力する対象は、所定の情報源に印刷されている情報。
ただし、所定の情報源にある情報を無条件で入力するのではなく、
書誌データとして必要かどうかを、目録作成者が判断する。
目録規則とは、「入力するデータがすでに決定している」ことを前提として、
それらのデータを「どのように入力すべきか」を規定しているものである。
目録規則に従って入力されたデータを見れば、
もとの資料がどのようなものであったかを推測することができる。

1-2. 全体的な注意点

所定の情報源に印刷されていない情報は、原則として無視する。
ただし、何らかの理由で入力する必要がある場合は、
そのデータが補記であることを示すために、角がっこに入れて入力する。
目録規則では厳密な規定がなく、目録作成者の判断が揺れる場合もある。

例: 標目の分かち書き
・CiNii Books と国立国会図書館とでは、それぞれの内部規則が異なる。
データの種類によっては、本則とは異なる形で入力することが一般的な場合もある。

例: 著作の種類を示す語の入力方法
・著作の種類を示す語(著、編、訳など)が奥付にのみあり、
・「著者 宮沢賢治」などと印刷されている場合は、
・「宮沢賢治著」のように「者」を除いて入力することが多い。
CiNii Books や国立国会図書館の規則は、本則とは異なる場合があるので注意。

例: 「版」の入力方法
・「別法」を採用しているので、「初版」は入力しない。

1-3. 「情報資源組織論」の関連ページへのリンク


1-4. 参考リンク: 目録規則の適用細則の例


2. ページ数の入力


2-1. ページ数の基本事項

入力する対象は、その本に印刷された「ページ付」の最終数。
数字は、アラビア数字で入力する。
アラビア数字以外の数字は、アラビア数字に変換する。
「ページ付」が複数ある場合は、コンマ、スペースで区切る。

2-2. ページ数の注意点

「ページ付」のない部分は、原則として無視する。
ただし、もし何らかの理由で入力する必要がある場合は、
その部分のページ数をかぞえ、角がっこに入れて入力する。
まったく「ページ付」がない場合は、
全体のページ数をかぞえ、角がっこに入れて入力するか、
または、「1冊」と入力する。
奥付にページ数のようなものが記載されている場合があるが、
それは「ページ付」ではないので無視する。
CiNii Books や国立国会図書館のページ数のデータは、
本則とは異なる場合があるので注意。

2-3. ページ数の事例 [2023-05-01 記述訂正]


2-3-1. ページ付が2種類あり、数字が漢数字の場合

薬用植物辞典 / 村越三千男編著. -- 東京 : 泰文館, 1956.

2-3-2. ページ付が3種類ある場合

教育と社会学 / デュルケム著 ; 田辺壽利譯. -- 東京 : 石泉社, 1954.

2-3-3. ページ付が3種類あり、数字にローマ数字も使われている場合

釋道安研究 / 宇井伯壽著. -- 東京 : 岩波書店, 1956.

3. 著作の種類を示す語の入力


3-1. 著作の種類を示す語の基本事項

著作の種類を示す語の代表的な例には、次のようなものがある。
・著、共著、作、文、画、撮影、作曲、編、訳、監修、監訳、校閲、解説
原則として、所定の情報源に印刷された語句をそのまま入力する。
情報源にない語を入力する必要がある場合は、
補記された語であることを示すために、角がっこに入れて入力する。

例: 宮沢賢治△[著]

3-2. 著作の種類を示す語の注意点

情報源にない語を角がっこに入れて入力する場合、
入力する語は、目録作成者の判断で自由に決めてよい。
判断が揺れることもあるが、それは許容範囲である。

例: [著] とするか、 [作] とするか、など。
情報源によって語が異なる場合(標題紙と奥付の違いなど)には、
目録作成者が適切と判断するものを入力する。
判断が揺れることもあるが、それは許容範囲である。
著作の種類を示す語が奥付にのみあり、
「著者 宮沢賢治」などと印刷されている場合は、
「宮沢賢治著」のように「者」を除いて入力することが多い。
目録規則上は明確な規定がないが、一般に許容範囲とみなされている。

4. タイトルと責任表示に関する事項の入力

情報源によってタイトルが異なる場合は、以下の優先順位による。
(目録規則 2.1.1.1E)
・共通するタイトルがあれば、そのタイトルを入力。
・なければ、標題紙、奥付、背、表紙の優先順位により選定して入力。
区切り記号のコロン「:」は、タイトル関連情報の前に置く。

例: △:△創造性開発のために
区切り記号のスラッシュ「/」は、最初の責任表示の前に置く。

例: △/△川喜田二郎著
区切り記号のセミコロン「;」は、2番目以降の本タイトルの前や、
2番目以降の責任表示の前に置く。

例: 冷えきった街△;△緋の記憶
例: ローズマリー・サトクリフ作△;△灰島かり訳
区切り記号のピリオド「.」は、別個に刊行された部編名の前や、
物理単位で入力する場合の巻号などの情報の前に置く。

例: 新横須賀市史.△通史編 近世
例: 新横須賀市史.△別編 年表
例: 迷宮としての世界.△上
例: 迷宮としての世界.△下

ただし、CiNii Books や国立国会図書館のシステムの場合は、
それぞれ独自の入力項目に、ピリオドを使用せずに入力するので、注意。

5. 版に関する事項の入力

原則として、所定の情報源に印刷された「版」の情報をそのまま入力する。

例: ○年○月○日 初版発行 → 初版
例: ○年○月○日 第1版発行 → 第1版
例: ○年○月○日 改訂版発行 → 改訂版
情報源に「版」の情報が存在しない場合は、何も入力しない。

例: ○年○月○日 発行 → 入力しない
「刷」の情報は、情報源に印刷されていても、入力しない。

例: ○年○月○日 初版第1刷発行 → 初版
例: ○年○月○日 第1刷発行 → 入力しない
「版」や「刷」の情報の違いで複数の情報がある場合は、
最新の版の情報によって入力する。

例: 以下の場合 → 新版
2009年3月20日 初版第1刷発行
2013年3月20日 初版第5刷発行
2014年4月20日 新版第1刷発行
もし何らかの理由で情報源に存在しない情報を入力する必要がある場合は、
目録作成者の判断で入力する情報を決めて、角がっこに入れて入力する。
「2.2.1.2 別法」に従って「初版」を入力しないシステムが多いが、
(例: CiNii Books や国立国会図書館など)、
本則に従えば「初版」を入力する必要があるので、注意。
出版社によっては、「刷」の意味で「版」という語を用いている場合がある。
目録規則では明確な規定はないが、
奥付の記載された情報をもとにして、目録作成者が「刷」と判断した場合は、
「版」と印刷されていても「刷」とみなして扱うことがある。

例: 以下のように初版と三版の間が短い場合 → 初版
2022年1月10日 初版発行
2022年1月20日 再版発行
2022年1月30日 三版発行

6. 出版に関する事項の入力

出版地は、原則として市町村名を入力する。
「市」の場合は、「市」を省略し、その直前までを入力する。

例: 東京都国分寺市 → 国分寺

東京都特別区(23区)の場合は、「東京」と入力する。

例: 東京都千代田区 → 東京

なお、この規則は、東京都制施行(昭和18年7月)以前には、
この区域が「東京府東京市」だったことに由来する。
出版年は、本則では、年のみを入力する。
所定の情報源に月や日が印刷されていても無視する。
CiNii Books や国立国会図書館では、
月が判明する場合は「年.月」を入力しているが、
これはそれぞれの内部規則によるものなので、注意。
発行年月日が、「版」や「刷」の情報の違いで複数ある場合は、
最新の版の最初の刷の情報によって出版年を入力する。

例: 以下の場合 → 2014
2009年3月20日 初版第1刷発行
2013年3月20日 初版第5刷発行
2014年4月20日 新版第1刷発行
2016年3月20日 新版第2刷発行

7. 大きさの入力

縦長本、横長本、枡型本の場合に縦×横を入力する理由については、
目録規則には明記されていない。
その理由を推測すれば、上記の3種類以外の縦・横の比率はほぼ一定であるので、
できるだけ省略する意味で「高さ」だけを入力している、と考えられる。

例: A5判の場合、縦=21cm、横=15cm

また、上記の3種類に該当する資料は比較的少ないため、
特定の書誌データを識別する際に有効である、とも考えられる。
図書館によっては、すべての図書について縦×横を入力しているところもある。
コンピュータ目録ではデータ入力が容易になったため、
今後、このような図書館が増えていくかもしれない。

8. 著者標目の入力

姓と名のある個人名の標目は、
姓と名の間をコンマ、スペースで区切って入力する。
これは、日本人の場合も外国人の場合も同じである。

例: 川喜田二郎 → カワキタ,△ジロウ
例: ビアトリクス・ポター → ポター,△ビアトリクス
外国人の個人名で、姓と名の区別が難しい場合には、
信頼の置ける人名事典などで確認することが望ましい。

例: ジル・ペイトン・ウォルシュ → ペイトン・ウォルシュ,△ジル
CiNii Books や国立国会図書館の標目では、
以下の2点が本則とは異なるので注意。

(1) 日本人は、漢字形を標目としている。

例: 川喜田二郎 → 川喜田,△二郎

(2) 外国人は、原綴りを標目としている。

例: ビアトリクス・ポター → Potter,△Beatrix
例: ジル・ペイトン・ウォルシュ → Paton Walsh,△Jill