配付資料とリンク
1-1. 基本的な考え方の注意
入力するデータは「目録規則の適用前に決める必要がある」という点に注意。
それでは「そのデータをどのように決めるのか」ということが問題となるが、 それについては、明文化された規則はない。 これまでに蓄積されたデータや、一般的な慣用などを参考にして、 目録作成者が自分で判断する必要がある。 |
目録データは「できるだけ現物のイメージを再現する」ことを目的としている点に注意。
誰が見ても、ある特定の資料として識別できるようにするのが理想。 「どのようなデータを、どのように入力するか?」というようなことで迷う場合は、 この観点から、データを見直してみるとよい。 |
1-2. 注意の必要な括弧記号
角括弧: [ ]
・補記する場合に用いる。 ・所定の情報源にないものを目録作成者が追加したことを示す。 ・補記以外の目的では使用しないように、注意。 |
丸括弧: ( )
・付記する場合に用いる。 ・説明を加えたり、限定するためのもの。 ・所定の情報源にある場合もあるし、目録作成者が追加する場合もある。 |
その他の括弧記号
・目録規則上は、特定の役割はない。 ・所定の情報源にあるものを、そのまま入力する場合もある。 ・注記のデータなどでは、自由に使用してよい。 (例) ・かぎ括弧: 「 」、『 』 ・亀甲括弧: 〔 〕 ・山括弧: 〈 〉、《 》 ・すみ付き括弧: 【 】 |
2-1. 全体的
目録作成者の判断にまかせた結果、判断が揺れると困らないか?
困るので、新しい規則ほど、できるだけ揺れないような規則とすることを目指している。 実際に、コンピュータ目録以前は、各図書館が独自に目録を作成していたので、 同じ資料でも、まったく違うものに見えてしまう場合も多かったが、 そのころに比べれば、現在は、かなり改善されてきている。 ただし、個々の資料はそれぞれに特徴があるので、 そのような、目録規則で一律には扱えない部分については、 目録作成者が判断することが望ましい場合もある。 |
日本目録規則の本則と、CiNii Books や国会図書館の内部規則とで、
違いがあるのはなぜか? それぞれ複雑な事情があるので、簡単には説明できないが、 おおまかに言えば次のような傾向にある。 ・日本目録規則の本則は、理論的な面が重視されている一方、実務的な面が弱い。 ・CiNii Books は、欧米の資料も多いため、欧米の目録規則も考慮する必要がある。 ・国会図書館は、大量の資料を扱うため、作業の効率化も考慮する必要がある。 |
書誌階層と、データの入力の関係が分からない。
基本は、階層の違う位置にあるデータは混ぜないで、別な項目に入力すること。 日本目録規則では、階層の違う入力項目は以下の3種類しかないので、 これを使い分ける。 ・メインの階層は、「タイトルと責任表示」に。 ・「タイトルと責任表示」より上の階層があれば、「シリーズ」に。 ・「タイトルと責任表示」より下の階層があれば、「注記」の内容細目に。 |
区切り記号のスラッシュ「/」やコロン「:」は1回だけ入力し、
2回目以降はセミコロン「;」とするのか? 回数は関係ない。 どの区切り記号を使うかは、区切り記号の後に入力するデータの種類で決まるので、 勘違いしないように注意すること。 |
奥付に「初版 [検印廃止]」と印刷されている場合、「[検印廃止]」は入力するのか?
これは目録規則以前の検討事項なので、 目録作成者が必要と判断すれば入力してよいし、 入力しなくてもよい。 |
ページ数を、「p」ではなく「pp」とする場合があるが、これはなにか?
これは英語の普通の略語で、単数形が「p」、複数形が「pp」となる。 英語の慣用とは異なるが、目録規則では両方とも「p」と省略する。 |
岩波新書の奥付にある「新赤版」とは?
岩波新書には、刊行時期の違いにより、次の4種類がある。 ・赤版: 1938年から1946年まで ・青版: 1949年から1977年まで ・黄版: 1977年から1987年まで ・新赤版: 1988年から 参考リンク: 岩波新書Q&A |
2-2. タイトル
所定の情報源に、
「みつばち鈴木先生―ローカルデザインと人のつながり」と印刷されていた場合、 間にある「―」は、入力しないのか? これは目録規則以前の検討事項なので、 目録作成者が必要と判断すれば入力してよいし、 入力しなくてもよい。 この記号はこうしなければならない、というような規則は存在しないので、 あくまでも個別に判断する必要がある。 判断の例としては、以下のようなものが考えられる。 (1) 複数の入力項目に分かれると判断した場合 「みつばち鈴木先生」が本タイトルで、 「ローカルデザインと人のつながり」がタイトル関連情報と判断した場合で、 間にある「―」を、単に「2つの入力項目を識別するための記号」とみなせば、 目録データとしては入力する必要がなくなる。 (2) 全体で1つの項目と判断した場合 「みつばち鈴木先生―ローカルデザインと人のつながり」で1つの本タイトル、 と判断した場合は、 途中にある「―」を削除すると意味が変わってしまうので、 そのままの形で入力しなければならない。 |
所定の情報源に、「梅原デザインはまっすぐだ!」と、
「『ニッポンの風景をつくりなおせ』副読本」とが印刷されている。 この場合、副読本に関する記載は、入力しないのか? 質問の意味がよく分からないが、 おそらくこれは目録規則以前の検討事項と思われる。 副読本だからこうしなければならない、というような規則は存在しないので、 目録作成者が必要と判断すれば入力してよいし、 入力しなくてもよい。 |
日本目録規則「2.1.1.2B」に、
「図書中のどこにもタイトルの表示がないときは、適切な情報源による本タイトルか、 目録担当者が決定した簡潔で説明的な本タイトルを補記する。」 とあるが、適切な情報源による本タイトルの例は? また、目録担当者が決定したタイトルは、かぎかっこで囲んで入力するのか? この場合の「適切な情報源」とは、各種の事典類や、文献リスト、専門書などである。 そのような資料の中で使われているタイトルは、一般にも認められていることが多いので、 それを本タイトルとして入力することには妥当性があると考えられる。 具体的な例は見つからなかったが、架空の例で言えば、 発行部数が極端に少なく希少な図書であり、 さらに図書館の所蔵は破損していて所定の情報源が存在しないが、 本文の内容から、ある特定の図書であると推定される場合が考えられる。 また、補記の事実を示すために、「角がっこ」で囲む必要がある。 (「かぎかっこ」ではないので注意。) |
2-3. 責任表示
著者名や著作の種類が、所定の情報源に平仮名で印刷されている場合は、
そのまま入力するのか? そのまま入力することが原則。 勝手に平仮名を漢字に直したりすることは、規則違反。 |
奥付に「ブックデザイン」として人名が印刷されている場合は、入力するのか?
これは目録規則以前の検討事項なので、 目録作成者が必要と判断すれば入力してよいし、 入力しなくてもよい。 |
所定の情報源にある「著作の種類を示す語」が「著」の場合と、
そうでない場合の違いは何か? 質問の意味がよく分からないが、 「著」という語の使い方に関する規則、というようなものはなく、 出版する側が自由に使っているので、 明確な違いというものはない。 |
「著作の種類を示す語」を入力するときに、
所定の情報源に印刷された語句を使わないのは、どのような場合か? たとえば、情報源によって異なる語句が印刷されている場合、 目録作成者が適切と判断した方を入力する。 (例) 標題紙では「作」、奥付では「著者」 |
「著作の種類を示す語」が「著者 ○○」という形の記載の「著者」だけだった場合に、
これを「著」と省略して人名の後に入力するのは、目録規則のどこに規定があるか? これは目録規則以前の検討事項なので、 目録規則には規定がない。 一方、国立国会図書館の内部規則では規定があるので、 国立国会図書館のデータを流用する場合はこの形になる。 |
2-4. 版
版が印刷されていない場合は、ほかに入力するものがあるか?
質問の意味がよく分からないが、 「所定の情報源」に版が印刷されていない場合は、 「目録データの版の項目」には何も入力しないのが原則。 なお、目録作成者が必要と判断した場合は、 角がっこに入れて補記してもよいが、 補記することは義務ではない。 |
版と刷の用語の使い方に、何か決まりがあるのか?
厳密な規則は存在しない。 どちらも、ある印刷原版によって一度に印刷したものを指す。 日本目録規則では、以下の意味で使われている。 ・版は、内容に変更があった場合に用いられる。 ・刷は、内容に変更がない場合に用いられる。 出版社によっては、日本目録規則の意味で使うこともあるし、 異なる意味で使うこともある。 |
初版と第1版の違いは何か?
質問の意味がよく分からないが、 一般には、同じ意味の言葉として使われることが多い。 出版者によっては、どちらか片方だけを使うこともあるし、 初版と第1版を使い分けていることもある。 なお、どちらかといえば第1版の方が意味が明確であり、 第2版や第3版などが出版されたときにも比較しやすいので、 学術的な出版物では第1版とすることが多い。 |
「初版第1刷」と印刷されている場合に、「第1刷」と入力することはできないのか?
これは目録規則以前の判断事項なので、 目録作成者が必要と判断すれば、そのように入力してよい。 |
2-5. 出版地
「町」や「村」の場合は、「町」や「村」の語を省略して入力するのか?
省略してはいけない。 原則に従い、現物に印刷された形をそのまま入力する。 |
2-6. ページ数
ページ付が1種類しかない場合には、内容的に「序」や「目次」などがあっても、
ページ付の最終数だけを入力するのか? それとも、「序」や「目次」のところで分割して、 コロン・スペースで区切って入力するのか? ページ付の最終数だけを入力する。 これは、目録規則の原則なので、必ず守る必要がある。 |
ページ付が複数ある場合に、入力する順番は、出現する順番でよいのか?
それとも、何か入力する順番が決まっているのか? (たとえば、数字の少ないものから多いものの順、のように) 出現する順番とする必要がある。 目録規則上は、「各ページ付ごとに」とあるだけだが、 この部分は、出現する順番を前提としていると判断される。 なお、出現する順番以外で入力してしまうと、 似たような書誌データの識別の際に支障があるので、 このことからも、出現する順番でなければならないことが分かる。 |
ページ付がなく、1冊と入力する場合は、どのくらいあるか?
このような場合をカウントした統計はないので、答えられない。 なお、一般的には、以下のような場合に多く見られる。 ・児童向けで、ページ数の少ない図書 ・地方自治体の出版物で、ページ数の少ないパンフレットなど。 |
初出一覧や参考文献のページは、本文に含まれるのか?
質問の意味がよく分からないが、 もしページ付を分けるかどうかの判断を問題としているのであれば、 ページ付として印刷された数字と、内容的な区分とは、まったく関係がないので、 混同しないよう、注意すること。 |
出版広告のページに「A」や「H」のようなページ付が印刷されていた場合は、入力するのか?
目録規則上は、規定はない。 一般には、このような記載はページ付とはみなさないことが多いが、 目録作成者が必要と判断した場合は、入力してもよい。 |
2-7. 大きさ
単位はすべて「cm」で入力するのか?
1m以上の場合はどうするのか? すべて「cm」で入力する。 1m以上の場合も、cmで入力する。 (例) 100かいだてのいえ / いわいとしお [作]. -- 東京 : 偕成社 , 2009.11. -- 1冊 ; 116×21cm. -- (ビッグブック) |
2-8. シリーズ
シリーズ名が変更された場合は、どのように入力するのか?
質問の意味がよく分からないが、 基本的に、まず、現物に印刷された名称を入力する。 もし、何かの理由で複数の名称が混在する場合は、 標目を追加して、それぞれの名称のデータを入力してもよい。 |
2-9. 標目
特殊な読み方の時はどうなるか?
目録規則上は、規定はない。 図書館によっては、内部規則で個々に決めている場合もある。 もし、複数の読み方が使われているような場合は、 標目を追加して、それぞれの読みのデータを入力してもよい。 |
タイトルが英字で印刷されている場合、読みは、日本語読みとネイティブ読みのどちらか?
上記と同様に、目録規則上は、規定はない。 基本的に、目録作成者の判断による。 もし、複数の読み方が使われているような場合は、 標目を追加して、それぞれの読みのデータを入力してもよい。 |
外国の地名の読み方はどうするか?
上記と同様に、目録規則上は、規定はない。 基本的に、目録作成者の判断による。 もし、複数の読み方が使われているような場合は、 標目を追加して、それぞれの読みのデータを入力してもよい。 |
2番目以降の本タイトルに副題は含まれるのか?
質問の意味がよく分からないが、 タイトル標目として副題の読みを入力するかどうかは、 日本目録規則ではオプション項目なので、 入力してもよいし、しなくてもよい。 図書館によって判断が分かれる。 |
外国人の姓と名の区切りが不明の場合、どのように確認するのか?
まず最初は自館の目録データを調べる。 次に、他の図書館の目録データを調べる。 それでも見つからない場合は、一般的な辞書、事典類を調べる。 それでも不明な場合は、目録作成者が推定で入力してよい。 その後、推定の誤りが分かった場合は、訂正すればよい。 |
姓と名がある場合に、姓を前に置くのはなぜか?
目録規則上は、特に理由はないが、 欧米では、人名をリストアップする場合、そのようにすることが一般的なので、 それを図書館の目録規則でも採用したという経緯がある。 その後、日本でもそれに合わせた形となっている。 |