図書館情報技術論

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1. リンク要素の URL を変数で指定するサンプル
2. 読み込んだデータを表にするサンプル
3. プログラムを改良する

1. リンク要素の URL を変数で指定するサンプル

リンク要素の URL は、かなり長くなることもある。
長い URL をそのままプログラムに書き込んでもよいが、変数を使えば簡略化することができる場合もある。
もし、URL の中に一定の文字列が長く続いている場合、その個所を変数で指定することを考えてみるとよい。
ここでは、CiNii Books に収録されている図書を、「ISBN」をキーにしてリンクさせるサンプルを試してみる。

リンク先の図書に関するデータ
- ISBN: 9784062586672
- タイトル: 三つの革命 : ドゥルーズ=ガタリの政治哲学

ここでまず、「ISBN」をキーにして CiNii Books を検索するためにはどうすればよいかをチェックしてみる。
CiNii Books のヘルプページの「OpenURL受信仕様」によると、以下のような URL が必要である。
(ISBNが 9784062586672 の場合の例)
```
https://ci.nii.ac.jp/books/openurl/query?ctx_ver=Z39.88-2004&url_ver=Z39.88-2004&rft.isbn=9784062586672
```
- 出典: CiNii Books - メタデータ・API - CiNii BooksのOpenURL 受信機能 - OpenURL受信仕様
  - https://support.nii.ac.jp/ja/cib/api/b_link_receive (accessed 2021-03-31)

次に、上記の URL を、「常に一定の文字列」と、「キーのISBN」に分割することを考えてみる。

すると、以下の2つの部分に分けることができる。

1. https://ci.nii.ac.jp/books/openurl/query?ctx_ver=Z39.88-2004&url_ver=Z39.88-2004&rft.isbn=
2. 9784062586672

このように分割して、それぞれに変数を指定すれば、プログラムが簡略化できそうである。
たとえば、上記1を変数「a」、上記2を変数「b」とすれば、URL は「a+b」で表現することができる。
以下のサンプルファイルでは、URL をそのまま print した場合と、変数を使用して print した場合の、2つの方法でリンクを設定している。

サンプルファイル「py401.ipynb」

以下のように入力されている。

# -*- coding: utf-8 -*-

# このサンプルは、単純に、入力値をそのままHTMLファイルに書き込む。
# 以下の、「print("""」から、カッコを閉じるまでのデータが書き込まれる。
# 「print("""」の前に、変数 ciniiurl と isbn を設定している。

fhtml = open("zosholist.html", "w", encoding="utf-8")

ciniiurl = "https://ci.nii.ac.jp/books/openurl/query?ctx_ver=Z39.88-2004&url_ver=Z39.88-2004&rft.isbn="
isbn = "9784062586672"

print("書き込み開始")

print("""

<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN"
        "http://www.w3.org/TR/html4/loose.dtd">
<html>
<head>
<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=utf-8">
<title>リンク要素の URL を変数で指定するサンプル</title>
</head>

<body>

<p>1. 文字列で指定した例</p>

<table border="1">
<tr>
 <th>ISBN</th><th>タイトル</th>
</tr>
<tr>
 <td><a href="https://ci.nii.ac.jp/books/openurl/query?ctx_ver=Z39.88-2004&url_ver=Z39.88-2004&rft.isbn=9784062586672" target="_blank">9784062586672</a></td><td>三つの革命 : ドゥルーズ=ガタリの政治哲学</td>
</tr>
</table>

<p>2. 変数 ciniiurl と isbn で指定した例</p>

<table border="1">
<tr>
 <th>ISBN</th><th>タイトル</th>
</tr>
<tr>
""", file=fhtml)

print(' <td><a href="%s%s" target="_blank">%s</a></td>' % (ciniiurl, isbn, isbn), file=fhtml)

print("""
<td>三つの革命 : ドゥルーズ=ガタリの政治哲学</td>
</tr>
</table>
""", file=fhtml)

fhtml.close()

print("書き込み終了")

実行すると、「zosholist.html」というファイルが作成される。
「zosholist.html」を開くと、Web ブラウザで以下のように表示される。

上記のプログラムの「2. 変数 ciniiurl と isbn で指定した例」の部分では、変数による指定をするために、以下のような工夫をしている。
- まず print を開始する前に、以下のように変数「ciniiurl」と「isbn」を設定している。
```
ciniiurl = "https://ci.nii.ac.jp/books/openurl/query?ctx_ver=Z39.88-2004&url_ver=Z39.88-2004&rft.isbn="
isbn = "9784062586672"
```
- その後、いったん「print("""」で書き込みを開始するが、途中で中断し、変数を使用した print をしているところがある。
- 具体的には、「2. 変数 ciniiurl と isbn で指定した例」の下の、以下の部分でカッコが閉じられ、中断している。
```
<table border="1">
<tr>
 <th>ISBN</th><th>タイトル</th>
</tr>
<tr>
""", file=fhtml)
```
- その次の行で、以下のように「%s」と変数「ciniiurl」「isbn」を使い、print で書き込みをしている。
```
print(' <td><a href="%s%s" target="_blank">%s</a></td>' % (ciniiurl, isbn, isbn), file=fhtml)
```
- 上記では「%s」が3か所に置かれ、左側から順に、変数 ciniiur, isbn, isbn が流し込まれることに注意すること。
- この部分は、全体が <td> と </td> で囲まれているので、表の中の1個の項目であることが分かる。
- ブラウザでは、この部分にはリンクの設定された「ISBN」が表示され、CiNii Books にリンクする。
- その下の行からは再び「print("""」を使い、以下のように3行分をまとめて書き込んでいる。
```
print("""
<td>三つの革命 : ドゥルーズ=ガタリの政治哲学</td>
</tr>
</table>
""", file=fhtml)
```

2. 読み込んだデータを表にするサンプル

ここで、ある図書リストのデータファイルを読み込み、HTML で表の形にしてみる。
読み込むファイルは、「zosho.txt」とする。
このファイルには、1行に以下の4項目のデータが、タブ記号で区切られて入力されている。
- ISBN
- タイトル
- 発行年月
- 分類
また、ファイル内のデータは、事前に以下の優先順位で並べられている。
1. 発行年月の昇順
2. 発行年月が同じ場合は、分類記号の昇順
3. 分類記号も同じ場合は、ISBNの昇順

以下は、最初の3件のデータの例。

9784320009127	現代暗号のしくみ : 共通鍵暗号, 公開鍵暗号から高機能暗号まで	2017/01	007.1
9784326102594	知覚経験の生態学 : 哲学へのエコロジカル・アプローチ	2017/01	115
9784771027725	本能の現象学	2017/01	134.95

サンプルファイル「py402.ipynb」

以下のように入力されている。

# -*- coding: utf-8 -*-

# このサンプルは、データファイルを読み込み、表の形式のHTMLファイルに書き込む。

ftext = open("zosho.txt", encoding="utf-8")
fhtml = open("zosholist.html", "w", encoding="utf-8")

print("書き込み開始")

print("""

<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN"
        "http://www.w3.org/TR/html4/loose.dtd">
<html>
<head>
<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=utf-8">
<title>銀河図書館 蔵書リスト</title>
</head>

<body>
<h1>銀河図書館 蔵書リスト</h1>

<table border="1" width="800">
<tr>
<th>ISBN</th><th>タイトル</th><th>分類</th>
</tr>
""", file=fhtml)

current_date = ''
for line in ftext:
    a = line[:-1].split('\t')
    if current_date != a[2]:
        print('<tr>', file=fhtml)
        print('<th colspan="3">%s 発行分</th>' % a[2], file=fhtml)
        print('</tr>', file=fhtml)
        current_date = a[2]
    print('<tr>', file=fhtml)
    print('<td>%s</td><td>%s</td><td>%s</td>' % (a[0], a[1], a[3]), file=fhtml)
    print('</tr>', file=fhtml)

print("""
</table>
</body>
</html>
""", file=fhtml)

ftext.close()
fhtml.close()

print("書き込み終了")

実行すると、「zosholist.html」というファイルが作成される。
「zosholist.html」を開くと、Web ブラウザで以下のように表示される。

この表では、発行年月が変わるごとに「年/月発行分」という1行が表示されるように工夫されている。

3. プログラムを改良する

ここでは、上記で作成したプログラムをもとにして、以下の2点を修正したプログラムを完成させたい。
1. 「銀河図書館蔵書リスト」の表示を、「自分の姓名蔵書リスト」に変更する。
2. 各データの ISBN の部分に CiNii Books へのリンクを設定する。

次のサンプルファイルは、上記の修正のために途中まで入力したものである。
主な変更点は下記。
- 「銀河図書館蔵書リスト」の「銀河図書館」を、「XX図書館」に変更した。
- CiNii Books へのリンクに必要な URL の一部を、変数「ciniiurl」に設定した。
- print 文の「ISBN」を流し込む部分に、タグ「<a href="%s%s" target="_blank">」と「</a>」を追加した。
しかし、このままでは実行途中にエラーが発生し、停止してしまう。
条件を満たして、正常に動作するように、ファイルを修正すること。

サンプルファイル「py403.ipynb」

以下のように入力されている。

# -*- coding: utf-8 -*-

# このサンプルは、データファイルを読み込み、表の形式のHTMLファイルに書き込む。

ftext = open("zosho.txt", encoding="utf-8")
fhtml = open("zosholist.html", "w", encoding="utf-8")

ciniiurl = "https://ci.nii.ac.jp/books/openurl/query?ctx_ver=Z39.88-2004&url_ver=Z39.88-2004&rft.isbn="

print("書き込み開始")

print("""

<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN"
        "http://www.w3.org/TR/html4/loose.dtd">
<html>
<head>
<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=utf-8">
<title>XX図書館 蔵書リスト</title>
</head>

<body>
<h1>XX図書館 蔵書リスト</h1>

<table border="1" width="800">
<tr>
<th>ISBN</th><th>タイトル</th><th>分類</th>
</tr>
""", file=fhtml)

current_date = ''
for line in ftext:
    a = line[:-1].split('\t')
    if current_date != a[2]:
        print('<tr>', file=fhtml)
        print('<th colspan="3">%s 発行分</th>' % a[2], file=fhtml)
        print('</tr>', file=fhtml)
        current_date = a[2]
    print('<tr>', file=fhtml)
    print('<td><a href="%s%s" target="_blank">%s</a></td><td>%s</td><td>%s</td>' % (a[0], a[1], a[3]), file=fhtml)
    print('</tr>', file=fhtml)

print("""
</table>
</body>
</html>
""", file=fhtml)

ftext.close()
fhtml.close()

print("書き込み終了")

実行すると、以下のようなエラーが表示され、停止してしまう。
```
TypeError: not enough arguments for format string
```

修正作業のヒント
- 「自分の姓名蔵書リスト」に修正する必要のある個所は、2個所あることに注意。
- エラーを解消するためには、エラーの原因となっている print 文を見つけ、修正すればよい。

サンプルファイルが完成したら、次のクイズを考えてみること。

クイズ

上記で完成したサンプルファイルについて、さらに、以下の2点を変更したいとする。
どこを、どのように修正すればよいか？
1. データ項目の表示順序を、「ISBN、タイトル、分類」から、「分類、ISBN、タイトル」に変更したい。
2. 発行年月の表示パターンを、「2017/01 発行分」から、「2017年1月発行分」のように変更したい。

今回のサンプルファイルについて

以下は、今回の授業で配付するサンプルファイル。
ただし、授業の際は、これらのファイルを先生用パソコンからファイル転送するので、以下のリンクは使用しない。
欠席した場合や、授業終了後の復習などの場合に、適当な場所へダウンロードして使用すること。