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図書館情報技術論
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Webページの更新に関する問題点
- Webページは、情報を広範囲に届けることが容易であり、この点が大きなメリットである。
- しかし、現在のWebページには、そのページの情報が「有効」であるかどうかを明示するような仕組みは備わっていない。
- このため、あるページを更新したり、削除したりした場合に、古いページをどうするかが問題となる。
国立国会図書館の事例
- 国立国会図書館では、「無効」となったページを「インターネット資料収集保存事業 WARP」に移動させている。
- このことにより、「有効」なページと「無効」なページを区別することができる。
- また、「無効」なページも、必要に応じて、それが過去のページであることを認識した上で、いつでも閲覧することができる。
- ただし、「有効」だったときのページのURLを保存していた場合、そのページが「無効」とされてしまうと、URLでアクセスしても「ご指定のページは見つかりませんでした。」と表示されてしまう。
- その場合でも、「インターネット資料収集保存事業 WARP」に保存されている可能性のあることについて、以下のように記載されているので、親切である。
過去に存在し現在は削除されているページは、国立国会図書館の「インターネット資料収集保存事業(WARP)」でご覧いただけます。
- WARP では、上記の削除されたページが、以下のように保存されている。
ご覧いただいているのは国立国会図書館が保存した2007年9月3日時点のページです。このページに掲載されている情報は過去のものであり、最新のものとは異なる場合がありますのでご注意下さい。
埼玉県立図書館の事例
- 「埼玉県立図書館 デジタルライブラリー」のページのURLは、これまでに数回変更されている。
- 変更後、しばらくの間は、変更前のURLもアクセス可能となっていることが多い。
- 現在は、以下の2つのページがアクセス可能である。
◆変更後のページ (トップページからリンクあり)
◆変更前のページ (トップページにはリンクなし)
- トップページには、変更後のページのみにリンクがあるため、新たにアクセスする利用者は古いページを開く心配はない。
- 一方、古いページのURLを保存していた場合にも普通にアクセス可能であるため、そのページが古いことに気づかない点は、問題があるように思われる。
- [2022-07-19 追記] 変更前のページが削除され、現在は「Not Found」と表示される。
石川県立図書館の事例
- 現在、「貴重資料ギャラリー」のページは削除されている。
- しかし、Google などで検索すると、削除前のページが多数ヒットしてしまう。
- ここで検索結果のリンクをたどっても、「Not Found」と表示される。
- Googleなどの検索エンジンは、ページが削除されてもしばらくの間は情報を保持しているため、このような結果となってしまう。
- 理想的には、削除ページはすみやかに検索対象からはずしてしまうことが望ましいが、現在の検索システムの構造では実現が難しい。
- [参考リンク] 「貴重資料ギャラリー」のトップページのみは「Internet Archive」に保存されている。
今後の展望
- この問題の解決のためには、Webページの構造自体に、「有効」か「無効」かの情報を保持することが必要と考えられる。
- その上で、「無効」となったページは、即時に、国立国会図書館の WARP のような Web アーカイブに保存するようなシステムを構築する必要がある。
- これにより、利用者は、「現在見ているページ」が「有効」なのかどうかを容易に判断することが可能となる。
- また、「無効」なページも半永久的に保存されることになるため、いつでも過去の情報にアクセスすることが可能となる。
- 今後、このようにWebページを管理することのできる標準的なシステムが開発されることが期待される。