> 図書館サービス概論 > 図書館サービスと著作権について

注意 [2023-05-29]


回答事項

  1. 第31条第1項の第1号には、一定の条件を満たせば「その全部」を複製することが可能な場合があることが記載されている。その条件とは何か? 条文そのままでは分かりにくいので、できるだけ分かりやすい表現で、自分の言葉で説明せよ。
  2. 第31条第3項には、国立国会図書館が、一定の条件の下で、複製物を用いて「自動公衆送信を行うことができる」と記載されている。この規定をもとにして国立国会図書館が提供しているサービスの名称を答えよ。

条文引用 第31条第1項の第1号

一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物にあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合


条文引用 第31条第3項

3 国立国会図書館は、絶版等資料に係る著作物について、図書館等又はこれに類する外国の施設で政令で定めるものにおいて公衆に提示することを目的とする場合には、前項の規定により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて自動公衆送信を行うことができる。この場合において、当該図書館等においては、その営利を目的としない事業として、次に掲げる行為を行うことができる。

一 当該図書館等の利用者の求めに応じ、当該利用者が自ら利用するために必要と認められる限度において、自動公衆送信された当該著作物の複製物を作成し、当該複製物を提供すること。

二 自動公衆送信された当該著作物を受信装置を用いて公に伝達すること(当該著作物の伝達を受ける者から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。第五項第二号及び第三十八条において同じ。)を受けない場合に限る。)。



[2023-05-29 追記]


著作権法は、2023年6月1日に新しい規定が施行され、第31条の条文も改定されるので、注意が必要。


2023年6月1日に施行される条文から引用 第31条第1項の第1号

一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物(次項及び次条第二項において「国等の周知目的資料」という。)その他の著作物の全部の複製物の提供が著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情があるものとして政令で定めるものにあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合

上記の「政令で定めるもの」は、著作権法施行令「第1条の4」に規定されている。

以下、該当の規定を著作権法施行令から引用

(著作物の全部の複製物の提供が著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある著作物)

第一条の四 法第三十一条第一項第一号の政令で定める著作物は、次に掲げるものとする。

一 国等の周知目的資料

二 発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物

三 美術の著作物等(美術の著作物、図形の著作物又は写真の著作物をいう。以下この号及び次条第三号において同じ。)であつて、法第三十一条第一項第一号の規定によりこの号の規定の適用がないものとした場合に提供されることとなる著作物の一部分(以下この号において「著作物の一部分」という。)の複製を行うに当たつて、当該著作物の一部分と一体のものとして図書館資料に掲載されていることにより、当該著作物の一部分に付随して複製されることとなるもの(当該美術の著作物等及び当該著作物の一部分から成る資料に占める当該美術の著作物等の割合、当該資料を用いて作成された複製物における当該美術の著作物等の表示の精度その他の要素に照らし、当該複製物において当該美術の著作物等が軽微な構成部分となる場合における当該美術の著作物等に限る。)


2023年6月1日に施行される条文から引用 第31条第7項 (旧規定の第31条第3項)

7 国立国会図書館は、絶版等資料に係る著作物について、図書館等又はこれに類する外国の施設で政令で定めるものにおいて公衆に提示することを目的とする場合には、前項の規定により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて自動公衆送信を行うことができる。この場合において、当該図書館等においては、その営利を目的としない事業として、次に掲げる行為を行うことができる。

一 当該図書館等の利用者の求めに応じ、当該利用者が自ら利用するために必要と認められる限度において、自動公衆送信された当該著作物の複製物を作成し、当該複製物を提供すること。

二 自動公衆送信された当該著作物を受信装置を用いて公に伝達すること(当該著作物の伝達を受ける者から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。第九項第二号及び第三十八条において同じ。)を受けない場合に限る。)。



[2023-06-01 追記]


2023年6月1日に、国立国会図書館の「図書館向けデジタル化資料送信サービス」に関するページが更新され、「項」の番号が「第31条第7項」に修正された。


国立国会図書館 - 図書館向けデジタル化資料送信サービス(日本国内の図書館員の方へ)から

※このサービスは、著作権法(昭和45年法律第48号)第31条第7項(e-Govへリンク)の規定を適用して行っています。


Internet Archive に保存されているページから

※このサービスは、著作権法(昭和45年法律第48号)第31条第3項(e-Govへリンク)の規定を適用して行っています。