図書館サービス概論

> 図書館サービス概論 > 5 利用空間の整備

1. フロア構成
2. 書架配置
3. 図書館家具の選択
4. 排架の原理と工夫
5. サインシステム

1. フロア構成

1.1 利用者サービスとしての利用空間の整備

利用空間を整備することの重要性としては、下記のような点を挙げることができる。
- 来館者全員の行動に直接影響するものであること。
- 特に、閲覧サービスのための環境として非常に重要であること。

利用空間を整備する目的としては、下記のような点を挙げることができる。
- 効率のよい利用ができること。
- 快適な利用ができること。

整備を計画的に進めるためには、下記のような点に注意する必要がある。
- 図書館施設を建築する段階での検討が重要である。
- 建築物の構造、内装、外装、デザイン、レイアウトなどが大きく関係する。
- 建築後に変更を行なおうとしても、経費がかさんだり、そもそも実現不可能だったりする。

建築計画段階で必要とされることとしては、下記のような点を考慮する必要がある。
- どのような利用者が来館し、どのような利用形態が一般的となるかを想定すること。
- 利用に関するシミュレーションを行ない、反映させていくこと。

1.2 フロアの構成要因

スペース区分
- どこを、どのような利用の場所とするかを検討する。
  - 児童サービスの専用スペースを置く場合、どこへ置くか？
  - レファレンス資料の利用のための閲覧席を設ける場合、どこに設けるか？
  - 視聴覚資料の利用スペースが必要な場合、どのように配置するか？
サービスポイント
- 利用者と接して人的サービスを提供する場について検討する。
  - 貸出・返却デスクを、一般用と児童用にそれぞれ設けるか？
  - 利用者からの相談受付のデスクを独立して設けるか？
書架配置
- 資料を排架している空間の整備について検討する。
  - どのような書架を、どのように配置するか？
  - 設置された書架に、資料をどのように並べるか？
閲覧席
- 館内読書やブラウジングのための空間について検討する。
  - 家具をどのように配置するか？ (机、椅子、キャレル、ソファ、スツールなど)
  - 空間をどのように整備するか？ (広さ、天井の高さ、建材、空調、音響など)

1.3 フロア構成の視点

利用動線
- 無駄な動きをなくし、動く距離を短縮し、動線の重なりによる混乱を避ける。
利用集中
- 利用集中があった場合、円滑な対応ができるように配慮する。
職員態勢
- 職員の人数や能力などとの関係で、フロアの構成を考える。
滞在環境
- 音、採光、空調などに配慮し、快適な滞在が可能になるよう工夫する。
安全管理
- 地震や火災などの災害対策や、犯罪行為の防止策などについて検討する。

1.4 フロア構成の例

下記の資料から、フロア構成の例を挙げる。
- 市民の図書館増補版日本図書館協会 1976.
- 図書館建築22選東海大学出版会 1995.
- 建築設計資料 43 図書館 2 建築資料研究社 1993.
- 建築設計テキスト図書館彰国社 2016.

日野市立中央図書館 (1973)
- 出典: 市民の図書館増補版日本図書館協会 1976. p. 46.
- 出典: 図書館建築22選東海大学出版会 1995. p. 14.
- 参考リンク: 日野市立図書館
  - https://www.lib.city.hino.lg.jp/ (accessed 2021-03-31)
- 参考リンク: 日野市立図書館 - 施設案内 - 中央図書館
  - https://www.lib.city.hino.lg.jp/sisetu/tyuou.html (accessed 2021-03-31)

朝霞市立図書館 (1987)
- 出典: 図書館建築22選東海大学出版会 1995. p. 55.
- 参考リンク: 朝霞市立図書館
  - https://www.asakalib.jp/ (accessed 2021-03-31)
- 参考リンク: 朝霞市立図書館 - 各館案内 - 本館 - 館内案内図
  - https://www.asakalib.jp/shisetsu/honkan.html#honkan (accessed 2022-03-31)

苅田町立図書館 (1990)
- 出典: 建築設計資料 43 図書館 2 建築資料研究社 1993. p. 26.
- 参考リンク: 苅田町立図書館
  - http://kanda-ed.jp/ (accessed 2021-03-31)

上里町立図書館 (1993)
- 出典: 建築設計資料 43 図書館 2 建築資料研究社 1993. p. 54.
- 参考リンク: 上里町立図書館
  - https://www.lics-saas.nexs-service.jp/kamisato/ (accessed 2021-03-31)
- 参考リンク: 上里町立図書館 - 施設案内 - フロアガイド
  - https://www.lics-saas.nexs-service.jp/kamisato/shisetsu/index02.html (accessed 2021-03-31)

金沢海みらい図書館 (2011)
- 建築設計テキスト図書館彰国社 2016. p. 43.
- 参考リンク: 金沢海みらい図書館
  - https://www.lib.kanazawa.ishikawa.jp/umimirai (accessed 2024-03-31)
- 参考リンク: 金沢海みらい図書館 - フロアマップ
  - https://www.lib.kanazawa.ishikawa.jp/umimirai/floormap (accessed 2024-03-31)

2. 書架配置

2.1 書架

書架とは？

本を収納するためのケース。書棚、本棚、本立（ほんたて）などの語と同義であるが、図書館では書架ということが多い。古くは本箱や櫃（ひつ）に平積（ひらづみ）にして保管するのが普通であったが、現代では一般に本を立てて並べるようになっている。図書館では一般に木製またはスチール製の、高さ約225cm、幅約90cmで、棚板（たないた）で6～7段に仕切られているものが用いられ、これを1連（れん）と数えて、横に連続して並べるようになっているものが多く用いられる。【以下、略】
- 出典: 図書館用語集 4訂版日本図書館協会 2013. pp. 138-139.

2.2 並べる順序の基本的な原則

水平方向は、左から右へ

垂直方向は、上から下へ

複数の連は、1つの連を終了してから次の連へ

例: 6段の書架が3連の場合

2.3 書架配置

書架配置とは？

書庫や開架室での書架の並べ方をいう。基本的には、壁面に沿って書架を配置する〈壁面（型）配置〉、書架を平行に並べていく〈並列（型）配置〉、書架を壁面と、その壁面に対して直角とに組合わせて配置し、凹型の空間（アルコーブ：alcove、または凹室、入込室ともいう）を作る〈アルコーブ型配置〉、書架を放射状に配置する〈放射型配置〉の4種類があるが、実際には利用目的に合わせて、これらを適当に組合わせて配置することが多い。なお、アルコーブ型配置は2組以上連続させることも多く、その場合には櫛（くし）型配置ともいう。
- 出典: 図書館用語集 4訂版日本図書館協会 2013. p. 141.

2.4 書架配置のパターンと特徴

基本的な配置のうち、「壁面型」、「並列型」、「アルコーブ型」の3種類は、下記のような特徴がある。

壁面型 (壁置き型)
- 「壁面に沿って書架を配置する」
- 収容効率は低い。
- メリット
  - 書架の前のスペースが広く、複数の利用者が同時に利用しやすい。
  - 外気や日光を遮断することにより、温度・湿度や光などの影響による資料の劣化を抑制することができる。
- デメリット
  - 窓が設置できないため、利用者に、閉じ込められたような圧迫感を与えてしまうことがある。
並列型 (中置き型)
- 「書架を平行に並べていく」
- 比較的収容効率が高い。
- メリット
  - 窓を設置することも可能であり、利用者が開放感を得られる。
- デメリット
  - 書架が向かい合った通路部分のスペースが狭いため、複数の利用者が同時には利用しにくい。
  - 窓を設置した場合、温度・湿度や光などの影響による資料の劣化への対策が必要となる。
アルコーブ型（櫛型）
- 「書架を壁面と、その壁面に対して直角とに組合わせて配置し、凹型の空間を作る」
- 比較的収容効率が高い。
- メリット
  - 書架の組合せを工夫することにより、他の配置方法よりも多くの資料を収容することが可能。
- デメリット
  - 書架に挟まれている部分は、複数の利用者が同時には利用しにくい。

2.5 書架間隔

書架間隔とは、書架が向かい合わせに配置されている場合に、書架の間の通路の幅と、通路に面した両側の書架の奥行きを加えたものである。

たとえば、通路の幅が 140cm、書架の奥行きがそれぞれ 20cm ならば、140＋(20×2)＝180cm となる。

書架間隔は、その図書館の利用者数や、どのような利用者を想定しているか、あるいは、その施設の特徴など、さまざまな要因によって左右される。

一般に、公共図書館の開架スペースの場合、最低でも 1.8m (180cm) 程度は必要と考えられている。

いくつかの条件によってまとめられた基準の例としては、下記のようなものがある。

書架間隔適用箇所書架間における利用者・館員の行動など
1.2 m 閉架実用　最小最下段の資料を取り出す際には膝をつく
1.35 閉架常用最下段の資料を膝を曲げて取り出すことができる
1.5 利用者の入る閉架
開架実用　最小接架している人の背後を自由に通行できる
1.65 開架実用接架している人の背後をブックトラックが通行できる
1.8 開架常用人と車椅子がすれ違うことができる
2.1 利用者の多い開架車椅子同士でもすれ違うことができる
2.4 利用者の多い開架下段が突き出している書架が使用できる

出典: 図書館ハンドブック第6版補訂2版日本図書館協会 2016. p. 410.

3. 図書館家具の選択

3.1 図書館家具の意義

図書館家具とは、館内の机、椅子、書架などの総称である。

図書館設備の中でも、利用に直結するものである。

選択における視点には、たとえば、下記のようなものがある。
- 図書館建築の視点
  - 建築物としての施設の構造やコンセプト、フロア形状やレイアウト、全体的なインテリアやデザインとの関係など、様々な要素が考慮される。
  - 図書館家具の形や大きさ、色調や手触りなどが検討対象となる。
- 機能性の視点
  - 求める機能を十分に兼ね備えていることが重要である。
  - 利用者の行動を十分にシミュレーションすることが求められる。
- 快適性の視点
  - 利用者にとって居住性が高いものであることが望ましい。
  - 身体的な面 (椅子の座り心地や、長時間でも疲れにくいなど。)
  - 視覚的な面 (暖色や寒色を適宜組み合わせるなど。)
  - 感覚的な面 (楽しい雰囲気や、落ち着いた空間など。)

3.2 書架の選択

一般的な書架の種類には、下記のようなものがある。
- 高さによる種類
  - 高書架
  - 中書架
  - 低書架、など
- 排架面による種類
  - 片面書架
  - 両面書架、など
- 設置場所による種類
  - 中央書架
  - 壁面書架、など

ディスプレイ効果を向上させる例としては、下記のようなものがある。
- 表紙部分を利用者によく見えるように並べる「フェイスアウト」に対応した書架
- 書架の下部に位置する段のいくつかを上向きにして利用者から見やすくする「傾斜型」書架

資料の形態別に異なる呼び名のある例としては、下記のようなものがある。
- 新聞架
- 雑誌架
- 地図架
- CD架
- 紙芝居ボックス
- 絵本箱、など

製品カタログの例

ライブラック直立型ライブラック傾斜型木製雑誌架展示式雑誌架
- 出典: キハラ図書館用品 VOL.82-2. 1999. p. 83, p. 85, p. 116, p. 118.

3.3 机と椅子の選択

選択は、それぞれの図書館の、サービスに対する意図や方針に基づくものでなければならない。

用途別の検討要素には、たとえば下記のようなものがある。
- 調査用の大きな机
- 個人使用のキャレル
- 業務用のカウンター型の机
- 長時間の館内閲覧用のしっかりした椅子
- ブラウジング用の簡便な椅子やソファ、スツール

製品カタログの例

木製閲覧テーブル木製キャレルデスク閲覧椅子木製閲覧椅子
- 出典: キハラ図書館用品 VOL.82-2. 1999. p. 146, p. 150, p. 155, p. 152.

3.4 図書館用品も扱う関連業者リンク

製品カタログが公開されており、参考になる。

キハラ
- https://www.kihara-lib.co.jp/
伊藤伊
- https://itin.jp/
伊藤伊大阪
- http://www.itoi-s-k.com/
日本ファイリング
- https://www.nipponfiling.co.jp/
埼玉福祉会
- https://www.saifuku.com/

4. 排架の原理と工夫

4.1 排架の原理

開架方式の場合、利用者が資料を探しやすいことが基本である。

利用者によって状況が異なるので、できるだけ多くの状況に対応できることが望ましい。

多くの利用者はどのように資料を認識しているか？
- 主題やテーマによる識別
- 著者やタイトルによる識別

一般的な排列の例としては、下記のようなものがある。
- 一次的な排列
  - 主題を示す分類記号の順。
  - 利用者が認識している可能性が最も高い。
- 二次的な排列
  - 著者を示す著者記号の順。
  - タイトルに比べ安定し、曖昧さが少ない。
- 三次的な排列
  - 特に定めない場合が多い。
  - 図書館によっては、受入順や発行年順などとする場合もある。

4.2 請求記号 (所在記号)

請求記号とは？

図書館内で特定の資料を識別し、その資料の排架されている位置を示すための記号。分類排架されている場合は一般に分類記号と図書記号からなっている。所在記号、請求番号、排列記号、コール・ナンバーなどともいう。【以下、略】
- 出典: 図書館用語集 4訂版日本図書館協会 2013. pp. 161-162.

分類記号とは？

分類項目を簡潔に表す符号。分類体系やその順序を示し、文献や資料の主題を表すとともに、図書記号を伴って請求記号として資料の書架上の位置を決定するものである。【以下、略】
- 出典: 図書館用語集 4訂版日本図書館協会 2013. pp. 280-281.

図書記号とは？

同一の分類記号をもつ図書を排列・検索の便宜のために個別化し、順序づける目的で与える記号。ブック・マーク (book mark) ともいう。文字のみ、数字のみ、および文字と数字の組合せによるものの3種があり、分類記号とともに〈請求記号〉または〈所在記号〉を構成する。図書の受入 (うけいれ) 順に一連番号を与える受入順番号方式、同一著者の著作をまとめるための著者記号の方式、出版年順による年代記号の方式などがあり、大図書館ではこれらを組み合わせて用いることが多い。【以下、略】
- 出典: 図書館用語集 4訂版日本図書館協会 2013. pp. 237-238.

著者記号とは？

図書記号の一種で、同一分類番号が付けられた図書を著者名の順に排列するための記号。同一主題の同一著者の著作を書架上で集中化させることができる。多くは著者名の初字 (1ないし2～3字) と数字との組合せで構成されているので、著者番号ということもある。【以下、略】
- 出典: 図書館用語集 4訂版日本図書館協会 2013. p. 199.

請求記号が分類記号と図書記号からなる場合は、原則として、下記の優先順位で並べる。
- 最初に、1段目の分類記号の順に並べる。分類が NDC (日本十進分類法) の場合は、数字の左側から各ケタごとに比較し、数値の小さなものから大きなものの順に並べる。
- 1段目が同一の場合は、2段目の図書記号の順に並べる。
- 2段目も同一の場合の並べ方は、図書館によって異なる。
- 3段目には、2冊以上でセットになった資料の巻数などを表す数字や記号が付与されている場合がある。その場合は、まず、セット全体を1冊とみなして並べ、次に、3段目の記号を比較してセットの中での順序を決める。

請求記号の例
- 2段目までの例
- 3段目も使用している例

公共図書館では、2段目に著者記号を用いる場合が多い。著者記号を付与する規則には、たとえば下記のようなものがある。
- 著者名のカタカナ表記の先頭から1文字、あるいは数文字を使用。
- 著者名のローマ字表記の先頭から1文字、あるいは数文字を使用。
- 「日本著者記号表」を使用。(この場合は、ローマ字と数字の組合せとなる。)

著者記号の例

「夏目漱石」「宮澤賢治」「シェイクスピア」を4種類の方法で記号化した例

	夏目漱石	宮澤賢治	シェイクスピア
カタカナ1文字	ナ	ミ	シ
カタカナ2文字	ナツ	ミヤ	シェ
ローマ字1文字	N	M	S
「日本著者記号表」	N58	Mi89	Sh12

4.3 別置の問題

図書館用語の「別置」(べっち) とは？

図書館資料は主題により分類し、すべての資料を一元的に分類順に排架することが原則であるが、管理上、利用上のさまざまな観点から、一般の図書とは別にして配置・排架すること。このように排架されているものを別置資料、別置図書などという。【以下、略】
- 出典: 図書館用語集 4訂版日本図書館協会 2013. p. 286.

別置の対象とされるケースとしては、たとえば、下記の3種類を挙げることができる。
- 資料の種別
  - 視聴覚資料、マイクロ資料、逐次刊行物、など。
  - 形態的に図書と同じ場所に排架しにくいため。
- 資料のサイズ
  - 大型資料、文庫本、新書本、など。
  - 不揃いであると収納効率が悪くなったり、資料がいたみやすくなったりするため。
- 資料の内容
  - レファレンス資料、テーマによる資料展示、新着図書展示、など。
  - 際立って異なる性格の資料の場合や、特に目立たせたい場合などに用いられる。

別置を行なう場合には、利用者に明確かつ適切に案内することが非常に重要である。

別置の案内の例
- フロアマップや書架マップへの明示
- 書架上のサイン
- OPACの所在指示、など

4.4 利用者の意識に配慮した排架

図書館の規模や利用者の利用行動などをもとにして、少しでも利用しやすくなるように工夫をすることも重要である。

たとえば、日本十進分類法に多少手を加え、下記のようにする場合もある。
- 日本文学の 913 (小説、物語等), 914 (評論、随筆等), 915 (日記、書簡等), 916 (ルポルタージュ) を1つにして「日本の読み物」とする。
- 4類の「自然科学」と6類の「応用産業」とを統合する。
- 児童室で、学校の学習に関係する資料を教科別に「社会」「理科」「音楽・図工等」「国語」とする。

4.5 排架の事例

東近江市立八日市図書館
- 出典: 東近江市立八日市図書館書架案内図
- 参考リンク: 出典 (オリジナル) [321 KB]
  - http://www.city.higashiomi.shiga.jp/lib/cmsfiles/contents/0000009/9554/http___www.library-higashiomi-shiga9.pdf (accessed 2021-03-31)

市川市立図書館
- 出典: 市川市立図書館 - 中央図書館フロア案内図［分類編］　2012年3月改訂
- 参考リンク: 出典 (オリジナル) [309 KB]
  - http://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000068756.pdf (accessed 2021-03-31)

5. サインシステム

5.1 サインシステムの意義

サインとは、資料への物理的アクセスを容易かつ効果的にするための案内の掲示や表示である。

サインシステムとは、個別のサインが図書館全体で体系化されている状態である。

5.2 資料にたどり着くためのサインシステム

資料の案内としてのサインを設置場所別にみると、たとえば下記のようなものを挙げることができる。
- 図書館の入口など
  - サインの例: フロアマップ
  - 目的: 館内の案内
- 開架スペース入口など
  - サインの例: 書架マップ
  - 目的: 書架配置と排架されている資料の主題の案内
- 書架の側面や通路側上部など
  - サインの例: 書架見出し
  - 目的: 排架されている資料の主題の案内
- 書架の各連上部など
  - サインの例: 連見出し
  - 目的: 排架されている資料の主題の案内
- 書架の棚板や、資料と資料の間など
  - サインの例: 棚見出し
  - 目的: 主題や著者の案内

製品カタログの例

利用案内フロアマップ行先案内書架見出し
- 出典: キハラ図書館用品 VOL.82-2. 1999. pp. 234-235.

5.3 注意を促すサインシステム

サービスポイントの位置を示すサインには、天井からの釣り下げ式の案内表示などがある。

どのようなサービスが行われているか示すサインには、デスクの上に置かれた、サービス内容を示す掲示物などがある。

その他、図書館から利用者に対する連絡事項や注意事項に関するサインもある。

5.4 サインシステムの留意点

書架案内は、資料の移動や主題の新設などに応じて更新が必要である。

最も優先されることは、必要かつ十分であること。

さらに、それぞれのサインが美しく、建物全体で統一感もあることが望ましい。

書架間隔	適用箇所	書架間における利用者・館員の行動など
1.2 m	閉架実用　最小	最下段の資料を取り出す際には膝をつく
1.35	閉架常用	最下段の資料を膝を曲げて取り出すことができる
1.5	利用者の入る閉架開架実用　最小	接架している人の背後を自由に通行できる
1.65	開架実用	接架している人の背後をブックトラックが通行できる
1.8	開架常用	人と車椅子がすれ違うことができる
2.1	利用者の多い開架	車椅子同士でもすれ違うことができる
2.4	利用者の多い開架	下段が突き出している書架が使用できる

ライブラック直立型	ライブラック傾斜型	木製雑誌架	展示式雑誌架

木製閲覧テーブル	木製キャレルデスク	閲覧椅子	木製閲覧椅子

利用案内	フロアマップ	行先案内	書架見出し