1. リクエストサービス
1.1 リクエストサービスの意義と種類
リクエスト・サービス (request service)
利用者の求める資料が、貸出中であったり未所蔵であったりして利用できない場合に、後日その資料を提供することを約束するサービス。予約サービス、図書予約制度などともいう。広義には自館に所蔵していない資料を他館から借りてきて提供する、相互貸借によるサービスも含めていうことがあるが、一般には貸出中の図書について、次の貸出の予約を受付けるもの、あるいは未所蔵の資料を予約によって優先的に購入するサービスをいい、時には前者を予約サービス、後者をリクエスト・サービスと呼んで区別することがある。【以下、略】
a リクエスト(予約)制度の意義
リクエスト(予約)制度は現代の公共図書館には欠かせないものであり、蔵書構成や図書選択に対しても大きな影響力をもっている。現代的な拡張型の収集方針では、利用者からのリクエスト(予約)を、蔵書構成への要望や批判として積極的に受け入れようとするからである(以下でいう「予約」という語は、その資料が図書館に所蔵されている場合もそうでない場合も含めて、「読みたいという申し込みを利用者がした」という意味で用いる)。
例えば、所蔵していない資料への予約があると、図書館は、それを収集しもらしていたのではないかと反省し、利用が見込まれるならその資料を購入する。また、所蔵している資料への予約についても、同じ本への予約が何度も重なるなら複本を購入する。
資料に魅力がない図書館ほど予約が多くなると思われがちだが、そうではない。利用者は現在の蔵書に触発されて予約をするので、蔵書が魅力的であるほど予約は増えてくるからである。また、複本が少ないと予約が多くなると思われがちだが、これもそうではない。複本が少ないとあまりに長く待たされるので、利用者はその本へ予約することをあきらめてしまうからである。逆に複本が多いと、近いうちに読めるという利用者の期待感が増し、予約は増えてくるものである。つまり予約の多い蔵書というのは、利用者の読書意欲を盛んに刺激している魅力的な蔵書であるといえる。【以下、略】
1.2 購入と借用の関係
b 複本購入
予約制度が利用者に定着してくると、複本を何冊買うかという問題が必然的に発生してくる。同じ本を待っている人が10人や20人いるという事態は、どんな小さな図書館でも頻繁に起こり、そうした資料要求に応えようとすると、早めに複本を購入することがどうしても必要となるからである。このために、予約者の多さを基準としながら複本を購入している図書館が多い。
例えば貸出期間が2週間であったとすると、延滞が生じたり予約者に連絡がとれなかったりするために、1冊の複本が1件の予約を処理するのに約3週間が必要となる。仮に、どんなに遅くても3か月(12週間)以上は待たせないことを目標とするなら、1冊当たりの予約件数が4件以下という状態を保っていなければ間に合わない。つまり4件の予約につき1冊の複本が必要ということになる。【以下、略】
c 住民の資料要求に応える
このように、住民の資料要求を重視しながら形成した蔵書について、「どの図書館も同じような蔵書構成をしていて、金太郎飴のようだ」という批判もある。しかし、資料費や蔵書の規模が似ているなら、どの地域の公共図書館であろうと、蔵書構成が似てくるのは当然のことである。日本国内であれば、どの地域の住民も似たような資料要求をもっているからである。特異な資料要求のあることがはっきりしている地域とか、大規模な蔵書や莫大な資料費をもっている図書館なら別だが、そうでないなら、特徴をもたせること自体を蔵書構成の目的とすべきではない。【以下、略】
1.3 予約の問題点
1.4 リクエストサービスの事例
- 探している資料が貸出中のときや日野市内の他の図書館に在庫のときは予約をすることができます。
- 日野市の図書館で所蔵していない本は、購入または他の自治体の図書館から借用してご用意します。
- 相互利用登録の方は、お住まいの市の図書館におたずねください
- 図書資料の予約・リクエストは合計30冊以内(相互利用登録の方は所蔵している資料に限り5冊以内)です。
- CDなどの視聴覚資料の予約は、所蔵している資料に限り合計2点以内(相互利用登録の方も2点以内)です。
- お探しの資料が書架に見当たらないときは、予約サービスをご利用ください。市川市在住・在勤・在学の方が対象となります。詳しくは、ガイダンス4-1.「予約サービス案内」(PDF)を参照してください。
- リクエストカードに記入のうえ、カウンターでお申込みください。本・雑誌は1日に3冊(全資料合わせて10点)までリクエストができます。
- パスワードを登録すると、インターネットやスマートフォン、館内の検索用コンピュータ(OPAC)から所蔵している本・雑誌や視聴覚資料(CD・ビデオ・DVD)を調べて予約をすることができます。詳しくは、ガイダンス5-1.「パスワード登録のご案内」(PDF)、5-2.「メールアドレス登録のご案内」(PDF)を参照してください。
平成30年度図書・雑誌のリクエスト件数は、平成29年度より0.7%増加した。図書・雑誌のリクエスト件数はここ数年多少の増減はあるものの、大きな変化はないが、視聴覚資料のリクエスト件数は、CDの劣化による蔵書点数の減少に伴い6.5%減少している。
運用面では、平成30年度の図書館情報システム更新で、図書館ホームページからのシリーズ予約受付を開始した。
また、大野公民館図書室に続き西部公民館図書室蔵書の電算化を行い、リクエストに関しても西部公民館図書室の蔵書を活用できるようになった。
(リクエストに関する統計は、p.40「9.平成30年度統計(4)リクエスト統計」を参照)平成30年度リクエスト受付方法別総数
(図書・雑誌・視聴覚資料)
受付方法 件数 窓口 70,006 インターネット 274,093 440,291 スマートフォン 133,752 館内OPAC 29,318 携帯電話 3,128 合計 510,297
一般的な例
分館や移動図書館がある場合の例
2. 図書館間相互貸借 (ILL: InterLibrary Loan)
2.1 図書館間相互貸借の意義
そうごたいしゃく 相互貸借 (interlibrary loan, interlibrary lending)
図書館の相互協力のひとつで、利用者の求めに応じて図書館間で資料の貸借(文献複写を含む)をすること。図書館間相互貸借ともいい、ILLまたはILLサービスと略称することもある。利用者は身近の図書館に申込みをして、その図書館にない資料を相互貸借の契約を結んでいる他館から送ってもらって利用する。【以下、略】
2.2 利用規則の明文化
2.3 貸借方法と費用負担方法
2.4 相互貸借協定の締結
2.5 所蔵情報の公開と利用可能性
2.6 県立図書館の役割
2.7 図書館間相互貸借の事例
所蔵している他の図書館等から岩手県立図書館まで資料を取り寄せて利用する「相互貸借(そうごたいしゃく)」というサービスがあります。カウンター窓口でお申込みください。費用は無料です。
- 発行後1年以内の本は借りられない場合があります。
- 貸出期間や条件(上限冊数や館外貸出の可否)は、借り受け先の図書館によって異なります。
- 貸出期間の延長はできません。期限までにご返却ください。
- 返却の際は、カウンターまで直接お持ちください。ブックポストは利用しないようお願いいたします。
「最寄りの図書館にない本はお取り寄せします」
埼玉県立図書館の「協力車」が埼玉県全体の図書館協力ネットワークを物流面から支えます。
県立図書館では、県立2館(熊谷・久喜)に加え、市町村立図書館や大学図書館(埼玉大学・埼玉県立大学)、図書館類縁機関(県議会図書室、総合教育センター、県民活動総合センター、埼玉県福祉情報センター、WithYouさいたま、さいたま文学館、女性教育会館、保健医療科学院)を巡回する「協力車」を運行しています。
この図書館協力ネットワークによって、埼玉県内全ての公共図書館が蔵書を共有することとなり、図書館間で資料の相互貸借を行うことが可能となりました。たとえば、お探しの本がお近くの図書館にない場合、県内で所蔵している図書館からお申し込みのあった図書館へ資料の貸し出しを行っていますので、その場合はお近くの図書館にお申し込みください。
令和4年度は、約86万冊の本が市町村立図書館等に搬送されました。
3. 団体貸出
3.1 団体貸出の意義
d 団体を対象とした貸出
市町村立図書館が当該自治体内で行うものは、学校、公民館、PTA、読書会、子ども会、学童クラブ、保育園、児童館などを対象とする。
各団体は責任者を定めて、図書館と話し合って貸出を受ける。貸出冊数、貸出期間などは図書館が一般的な基準を設けるが、話合いで、できるだけ個々の団体側の要望に合わせるようにする。図書館は、団体貸出用資料を自動車で巡回して届ける。【中略】
都道府県立図書館は広域サービスを担当している。図書館未設置自治体の住民に対しては、ブックモビルと団体貸出を併用してサービスを行う。団体貸出は、都道府県立図書館が直接地域住民と話し合って実施する場合と、一度当該自治体の教育委員会に貸出して、当該教育委員会が地域住民と話し合って活用するという方法とがある。いずれの場合でも未設置自治体で図書館建設に結びつくような働きかけを行う。
3.2 対象となる団体の例
3.3 団体貸出の利点と欠点
3.4 団体貸出の事例
- 幼稚園や保育園・学童クラブ・病院・地域文庫などに、まとめて本を貸出します。小中学校へは、調べ学習や読書指導に必要な本を貸出します。(貸出期間は4週間)
【貸出セット数・貸出期間】
- 集団での読書会等にお使いになれます。
- 同時に利用できるセット数は6セットまでです。上下巻は2セットと数えます。
- 貸出期間は2か月です。当館から貸出して戻ってくるまでの期間です。