1. 情報提供サービスの意義
1.1 図書館の情報サービス
1.2 情報提供サービスに関係する用語について
情報 (information)
事実、思想、感情などが他者に伝達可能な形で表現されたもの。情報の発信者(送り手・情報源)と受信者(受け手)との間を媒介するものをメディア(媒体)といい、音声、文字、図形、電波などがこれにあたるが、さらに書物、テレビ、ラジオ、電話、磁気テープなどの具体的な〈もの〉を指していうこともある。 【以下、略】
情報サービス (information service)
情報を求めている利用者に対して、図書館やその他の情報提供機関などが提供する個人的援助。インフォメーション・サービス、情報提供サービスなどともいう。狭義にはレファレンス・サービスの回答業務の中の、質問に対して情報そのものを提供するサービスをいい、特にそのうちの電話で行うサービス、あるいはオンラインやオン・ディスクによる情報検索(代行検索)などのサービスをいうこともある。また、情報や情報源の提供をより積極的・能動的に行う、いわゆる参考調査活動・調査業務などのサービスを情報サービスということもあり、このような場合には〈レファレンス・情報サービス〉という用語が使用されることもある。いずれにせよ、情報検索サービスの略称として情報サービスということが多い。一方広義には、情報サービスはレファレンス・サービスの情報提供機能を拡大・深化させたものであり、特別視されていたオンライン情報検索サービスなどの機械検索も日常業務となりつつあるとして、情報サービスとレファレンス・サービスを同義語と考える立場も出てきており、特にアメリカでは、情報サービスはレファレンス・サービスの代替用語になってきている。さらに広義には、貸出・閲覧業務をも含めた図書館の利用者サービス全体を情報サービスと称する考え方もあり、日本の多くの国立大学図書館では、1988年から利用者サービス担当部門を〈情報サービス課(係)〉と改称している。
レファレンス・サービス (reference service)
情報を求めている利用者に対して、図書館員が提供する個人的援助。貸出と並んで近代図書館の利用サービスの中心となる業務とされている。狭義には何らかの情報を求める利用者の質問(参考質問)に対して、回答となる情報そのものを提供したり、回答の含まれる情報源を指示・提供することをいい、特に前者を情報サービスまたはインフォメーション・サービス (information service)、後者をレファレンス・サービスと呼んで区別することもある。また、オンライン検索やオン・ディスク検索などの機械検索による回答業務を特にインフォメーション・サービスということもあり、アメリカでは電話による情報提供や情報源となりうる団体・個人の紹介などのサービスをインフォメーション・アンド・レフェラル(案内・紹介)サービス (information and referral service) と呼んでいる。広義には図書館やその所蔵資料の案内・利用法指導などの利用案内業務を含めていい、さらにそれらの回答・案内業務(直接的サービス)を円滑に行うための情報源・施設・組織などの整備・充実(間接的サービス)をも含めていうこともある。 【以下、略】
1.3 レファレンスサービスの種類
1.4 レファレンス資料
1.5 レファレンスサービスの事例
皆様がお探しの資料や調べたいことについて、資料や情報を探すお手伝いをするサービスです。
たとえばこんな時
- どこの図書館で所蔵している資料か知りたい
- 調べていることについて書かれている資料を探したい
- 〇〇について知りたい
- 調べる方法を知りたい
など、資料探しに迷ったときはお気軽にご相談ください。
レファレンスサービス
平成30年度は、63,504件の質問が寄せられた。
カウンターだけでなく電話やメールも含めて、利用者から受けた質問及びその調査過程・回答は「レファレンス記録票」に記録している。この記録票を基に、実際のレファレンス回答の情報を「新・参考業務月報」として記録・発行し、「レファレンス事例集」としてホームページ上に掲載するとともに、同じ事例データを、国立国会図書館のレファレンス協同データベースにも提供している。市川市立図書館からのレファレンス事例提供数が多かったことから、国立国会図書館より市川市中央図書館へ10度目の礼状が贈られた。さらに1年分をまとめて『新・参考業務年報』として市役所内部はじめ関係部署へ配布している。
また、「パスファインダー」の作成を継続し、30年度には5点の新規パスファインダーを作成・配布した。
レファレンスの用に供するため、12種類の民間データベースを導入している。(p.27参照)中央図書館・市川駅南口図書館に続き、12月には行徳図書館に新聞記事データベース等を導入し、Web-OPACで利用者に開放した。
平成26年度から開始した国立国会図書館デジタル化資料の公衆送信サービスも年々利用が増えている。レファレンスについては中央図書館がバックアップするなどし、小規模館においても、様々な市民の資料相談に応えられる体制を整えている。
“知りたい”“調べたい”ことがあるときは
- レファレンス・サービス
- あなたの暮らしのなかの疑問、仕事や趣味での調査など、2階参考資料室カウンターでご相談ください。
- あなたの目的に応じた資料を選び出します。
- 手紙や電話でもレファレンス・サービスをご利用いただけます。
- ふとした疑問も、いつでもその場で図書館へお寄せください。
- 図書館の資料だけでは目的が満たされない場合には、他の専門機関などとも連携して、資料を探します。
1.6 レファレンス協同データベースから
ボロ市については『市史研究いちかわ 第10号』(市史研究いちかわ編集委員会/編 市川市役所文化スポーツ部文化振興課 2019)p.1-12に掲載の論文「市川市八幡の農具市」(加藤紫識/著)に詳しくまとめられており、生姜市としても触れられている。
「近世期における農具市は、葛飾八幡宮の祭礼時に立つ市ということから八幡市と呼ばれる一方で、生姜が商われることから生姜市とも認識される側面があったことがわかった。その開催日や商われる品々は、近世期を通して大きな変化はないようである。近代になると「農具市」や「ボロ市」という語が見え始め、市の多様性が伺える。」(p.10)とある。
同論文には関連する文献が時代順に挙げられている(p.2-3)。
・『葛飾記』(1749年)「八幡宮」の項「8月15日は夥鋪市立つ、(但し14日より17日頃迄也)諸国の大商集る。生姜まちと俗に呼ぶ。苧・真綿・絹布類、巷に満ち満ち、鮨桶は例年鳥居の辺りにて山のごとく、其香芳郁たり。見せ物・小芝居、かぞへ難し。其外、諸商・小間物類、貴賤群集する事、宛も合期難し(後略)」とあり。
・『葛飾誌略』(1810年)「祭礼。8月15日16日也。(中略)八幡祭として世に名高し。生姜、是亦此市の名物とする也」とあり。
・『江戸名所図会』(1836年)「葛飾八幡宮」の項「同(8月)14日より18日までの生姜の市あり。故に土俗生姜祭(しょうがまち)と唱ふ。マチは祭りの縮語なり」とあり。
・『成田参詣記』(1858年)には「八幡まちは(中略)この町多く生姜を鬻ぐ故に生姜町ともいへり」とあり。
以上の資料から、近世期(1749-1858年)には市で生姜を扱っていることが分かる。
また近代以降として、『千葉県東葛飾郡誌』(1923年)に近世期と変わらない盛大な市の様子が記されているが、生姜を取り扱っていたかは確認できなかった。
その他、『下総・八幡市 民俗研究 第22輯』(本山桂川/著 日本民俗研究会 1930)は昭和初期の八幡市について非常に詳しく、扱われている品目が店舗品別分類表に詳細に記されているが、生姜については記載がなかった。
『江戸川まるごと図鑑』(自然通信社 1997)p.48には、「アユは江戸川に生息する魚の一種で、川でふ化した仔魚は海へ流下し、東京湾で冬を越す。春3月下旬~5月、7~8㎝の稚魚は江戸川を群れなしてのぼる。石に付着する藻類を食べて成魚となり、10月頃中流まで下って、砂れき底や石に産卵し、1年で一生を終わる。」とあり。
『江戸川・生きもの小図鑑』(自然通信社 2005)p.11にも、「江戸川を代表する魚アユ」として、同様の記述あり。
『市川市史 自然編 都市化と生きもの』(市川市史自然編編集委員会/編 市川市 2016)p.239-241に、江戸川本流に生息する魚として鮎があげられており、「遡上する稚アユを生け捕りにして他の河川に放流する。それがそれぞれの川で「鮎釣り」のアユになる」、「江戸川水閘門の通過がアユにとって最難関になっている」とあり、2005年には市民団体による「江戸川稚アユ救出作戦」が実施されたことや、「江戸川河川事務所」によるアユの遡上対策がなされている旨記述がある。
国土交通省関東地方整備局「江戸川河川事務所」のホームページにも「アユの遡上環境改善の取り組み ~江戸川水閘門で行うH31年春の取り組み~」( https://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/edogawa00999.html 2019.12.24確認)が掲載されている。
江戸川河川事務所に問い合わせたところ、現在も鮎は生息しており、遡上のために毎春水閘門の開閉を行っているとのことだった。
『京成電鉄の世界』(交通新聞社 2015)p.90-91、『東京消えた!全97駅』(中村建治/著 イカロス出版 2015)p.106より「博物館動物園駅」(所在地:東京都台東区上野)と分かる。
1933年12月10日に「動物園前駅」で開業し、1945年6月10日休止、1953年5月1日営業再開、1973年6月16日から12月15日改良工事のため営業休止、1997年3月31日廃止を前提の営業休止、休止についての反対運動があったが、2004年4月1日廃止(廃止理由は利用減から)。
『M in M project 1991-2001 博物館動物園駅の進化と再生』(若松久男他/編著 ミュゼ 2002)、『東京人2019-3』(都市出版)p.124~132 「旧博物館動物園駅、眠りから覚める 二十一年ぶりに限定公開中! 京成本線」(内田宗治/文、写真)には、写真が多数掲載されている。
2. 利用者からの相談
2.1 利用者の行動
2.2 図書館職員の知識と技術
2.3 サービスを提供する場
3. 質問回答サービスの展開
3.1 情報提供と利用案内
3.2 典拠の明示
3.3 レフェラルサービス (referral service)
3.4 回答の制約
4. 地域における情報拠点
4.1 地域の情報拠点の意義
4.2 地域資料の種類
4.3 コミュニティ情報サービス (community information service)
4.4 地域資料の組織化と提供
4.5 地域資料の収集・提供の事例
地域資料
ア.地域行政資料と市民文庫
地域行政資料(市川市、千葉県に関する資料)の収集、整理を行った。地域行政資料は、市川独自の地域区分、資料分類を付与し、地域の歴史を後世に伝えるため永年保存としている。
中央図書館では絵画ラックやガラスケースを利用して地域に関連する展示を行った。8月には三番瀬、9月には一般の特集展示にあわせて、没後200年の伊能忠敬関連資料を展示した。10月~11月には、市川市の市民活動団体「まちづくり家づくりCafé Ichikawa」が主催した「クロマツのある風景市川:昔・今・あした展」を開催し、同団体が所蔵しているパネルや貴重な資料を展示した。また、12月~1月は市川市の市民ボランティアが制作した「いちかわ環境かるた」を展示、2月~3月には文学ミュージアム企画展示室で開催した千葉県博図公連携事業「写真でつづる千葉県と鉄道」展にあわせて、京成電鉄の貴重な資料を展示した。イ.特別コレクション(永井荷風・東山魁夷・星野道夫・渡邊二郎の著作及び関連著作)
特別コレクションは論文や記事、新刊書から古書まで積極的に収集し、整理を行った。
ウ.電子化とホームページによる情報発信
著作権の保護期間満了の資料を電子化して、中央図書館内のデータベース用端末(旧Web-OPAC3台)で公開していたが、平成30年度の図書館情報システム更新に伴い、中央図書館と行徳図書館に設置した館内Web-OPACに新たにデジタルアーカイブを導入して、京成電鉄の沿線案内や古い地図を中心に館内公開を開始した。デジタルアーカイブでは今後も随時資料を整備し、追加更新していく予定。
また、ホームページで発信している地域情報データベースのページを修正更新した。
(所蔵資料に関する統計は、p.34「9.平成30年度統計(1-2)分野別蔵書冊数内訳」を参照)
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5.1 図書館サービスとインターネット
5.2 インターネットを活用した情報提供
5.3 デジタルデバイド (digital divide) の解消